刈払い機の調子が直近3カ月くらいで急に調子が悪くなったので、キャブレターの分解・掃除・消耗部品取替えを行いました。
分解方法・手順を写真で紹介します。
調子が悪くなった原因は
ガソリンスタンドで混合ガソリンを買ったら、変な混合油だったんじゃないか 事件 | おじさんのやってみよう (ojisan-letstry.com)
こちらの記事内容のせいではないかと思っています。
刈払機の他、自走式草刈機やエンジンポンプやエンジン噴霧器他、小型農機具で 燃料タンクがキャブレターの下に付いている機械は、2ストロークエンジンも4ストロークエンジンも、キャブレター構造は大体同じです。
(メーカーや型式によって多少の違いはありますが、基本構造はほとんど同じです。)
この記事は、電気系統と排気系統(マフラー)には問題が無いことを前提として書いています。
今回修理する刈払い機の機種は イセキ CH230DL です。
長期保管後に久しぶりにエンジンをかけたら、エンジンがかからない、調子が悪い、という人がキャブレター調整の前にやるべき事
エンジンをかける時に、プライマリーポンプ(キャブレターの下の透明な半球の部分)を数回押して、キャブレターに送られた燃料が透明なチューブを通って燃料タンクに送り返されている事を確認します。
プライマリーポンプを何回押しても燃料が送り返されない場合はタンク内の燃料フィルターの目詰まりの可能性が有ります。
この場合は燃料フィルターの交換が必要です。(燃料フィルターの掃除という手も有りますが、手間の割に あまり綺麗に出来ません)
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燃料がしっかり送られていて、電気系統に問題が無ければ、チョークの開け閉め・アクセルの開き具合をいろいろ試してみれば調子の良し悪しは別としてエンジンがかかるはずです。
電気系統の確認方法は、スパークプラグを外してスパークプラグにプラグキャップをしっかりと取り付け、スパークプラグの先端をエンジンの金属の部分に当ててスターターロープを引き、先端部で火花が出ているか確認します。
ここまでやってもダメな場合はキャブレター内の目詰まりの疑いが有ります。
ここで、プライマリーポンプをしつこく何十回も押してみて、燃料を循環させてみます。
強制的に燃料がキャブレター内を循環しますので、キャブレター内の目詰まりが酷くない場合はこの動作で目詰まりが解消されてエンジンがかかるようになる可能性が有ります。
(もともと調子が良かったエンジンのが場合はこれだけで直る場合もあります。)
キャブレター調整に必要な物は
キャブレター分解・掃除・調整に必ず必要な物は
- キャブレタークリーナー(泡タイプが使い易いです)
- プラスドライバー (大きさは+2番、一番よく使われているサイズの物です)
- 保護メガネ(必ず保護メガネをかける様にしましょう、100均の伊達メガネでもOKです)
- パーツクリーナー(コンプレッサーエアーを用意できる方はこちらでもOKです)
*注意
キャブレタークリーナーを使う時には必ず保護メガネを使用しましょう。
キャブレタークリーナーが目に入ると冗談では済まされない程痛く、目を開ける事も出来ない程です。(おじさんの実体験です)
万が一目に入ってしまったときは直ぐに水で目を洗浄し、目医者に行くことをお勧めします。
キャブレタークリーナーは、口コミ等で調べるとヤマハ(YAMAHA) ヤマルーブ スーパーキャブレタークリーナー 泡タイプが、ダントツで評判が良いようです。
おじさんは近くのホームセンターで売っている安いキャブレタークリーナーを使っていますが、今の処 安いキャブレタークリーナーで充分対応できています。
キャブレターの中の穴が完全に詰まってしまっているような状況の場合はヤマハ製品の方が良いかもしれません。
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パーツクリーナーは安い物で充分です。
おじさんは近くのホームセンターのPB(プライベートブランド)製品を使っています。
汚れ油分を吹き飛ばす為に、大量消費する事になります。
安い物なので2本ぐらい買っておくことをお勧めします。
(キャブレターの他に、本体の油汚れ落とし等に使用できます。)
キャブレター分解・掃除・調整にあると便利な物は
- 使い捨てのニトリル手袋 (手肌が弱い方や、油汚れが嫌な方は用意しましょう)
- 歯ブラシ(キャブレター内部の掃除には ほぼ使う事はありませんが、キャブレターの外側の掃除に活躍します。)
- 竹串・焼き鳥用の手で持つ部分が広くなっている物があると細い部分と広い部分の使い分けが出来て便利です。外観の油汚れや土汚れの掃除に使うと便利です。(キャブレター内部の掃除にはほぼ使う事はありませんが、キャブレターの外側の掃除に活躍します。)
- カメラ:作業工程を写真に撮っておくと、組付け時に迷った時に確認できます。カメラで写真を撮るよりはスマートフォンで写真を撮っておいた方が拡大機能等を使って確認しやすいと思います。
キャブレターの取り外し
エアークリーナーカバーの取り外しとエアクリーナエレメントの掃除
エアークリーナーカバーを取り外します。
エアークリーナーカバーは、ネジ止めのタイプと、樹脂の爪で留めている 工具不要の物が有ります。
エアークリーナーカバーを取り外し、
エアクリーナーカバーの内側のごみや汚れを掃除します。
エアクリーナエレメント (スポンジの様な物)を掃除します。(ここは意外と重要です)
刈払い機の様にエンジンが腰の高さで駆動しているエンジンはエアフィルターはあまり汚れないので問題になる事は少ないのですが、
自走式草刈機等は地面に近い部分で駆動し、しかも土埃を舞い上げて作業する場面もありますので、 エアクリーナエレメント が目詰まりして、キャブレターに充分な空気を供給できなくなる可能性が有ります。
エアクリーナエレメント の掃除
エアクリーナエレメント の掃除方法について、ほとんどのメーカーの取扱説明書に書いてある方法は、
- 洗い油で汚れを落とし、
- 固く絞り、
- オイルを少量含ませ
- 固く絞り、取り付け と書いてあります。
ここで出てくる 洗い油とは、一般的には多分 灯油を表していると思います。(工場などで使う洗油とは別物のようです)
この洗い油(灯油)を使う という事が実は厄介な話で、汚れは落ちやすいのですが、後始末に困ります。(灯油は第2類石油類に分類され、揮発性と可燃性が高い危険物です)
きちんと法律を守って汚れた廃油を処理する方法は、ガソリンスタンドや廃油処理業社に処分を依頼する、という事になります。間違っても川に流したり下水に流したりしてはいけません、法律により罰せられます。
(追記:廃油の処理はガソリンスタンドにお願いすれば格安で処理して頂けます。
おじさん(私)が500mlのペットボトル半くらいの腐った(劣化した)ガソリンの処理をお願いした時にはタダで引き取ってもらえました。
ちなみに、ギヤオイル等の処理費用を聞いたところ1リッターあたり¥10 との事でした。価格はガソリンスタンドによるとは思うのですがこの位の価格ならば、下手な小細工をして廃油処理するよりガソリンスタンドに廃油処理をお願いした方が良いでしょう。)
では、一般人がフィルターの掃除をする時はどうすればいいのか?
修理業者の場合は作業にかかった時間も料金の内ですし、納期も決まってくるので作業効率を考えると洗油を使うのですが、我々一般人の場合は時間をかけて作業する事が可能です。
このエアクリーナエレメント の汚れは土埃と少量の油です。
台所の中性洗剤で綺麗に洗い、固く絞って、よく乾かします。
(一般人の強みで、時間をかけてしっかり乾燥させます)
エアクリーナエレメント をしっかり乾燥出来た後、少量のオイルを含ませて片手でギュッと握りオイルを万遍なくエレメントにいきわたらせ余分な油を落として エアクリーナエレメント の掃除は完了です。
オイルについてはメーカーによって書いてある事が違っていて、エンジンオイル・2サイクルオイル他色々書いてあります。何が正解なのかよく解りませんが、着火点・発火点が高い、火が付きにくいオイルを使用します。
変なたとえですが、料理をした後のフライパンに付いた油は中性洗剤で洗って下水に流していますよね。中性洗剤で洗い落した少量の油であれば、下水に流しても怒られないと思います。
(おじさんの勝手な判断なので、上記の処理方法に責任は取れません)
キャブレターに繋がっているケーブルとホースの取り外し
キャブレターを外す前に、キャブレターに繋がっているアクセルワイヤーと2本の燃料ホースを外します。
キャブレター上部に繋がっているスロットル(アクセル)ケーブルの外し方
キャブレター上部の扇型の部品を指で右側に押して、アクセルワイヤーを上へ引き上げて外します。
余談ですが、この扇型の部分にキャブレターのメーカー名Waibroと入っています。
キャブレターから燃料ホースを取り外します。
下側の黒いホースが燃料タンクからキャブレターへの燃料供給ホース、
上の半透明のホースがキャブレターからオーバーフローした分の燃料を燃料タンクへ送り返すホースです。
ホースが固くなっているので引きちぎってしまわない様に慎重に引き抜きます。
エンジンからキャブレターを取り外す
エアークリーナーカバー・エレメントを外すと、キャブレターの取り付けネジが2本あります。
この2本を外すとキャブレターを外す事が出来ます。
(ここも大分汚れているので掃除します)
エアークリーナーケース → キャブレター → ガスケット → アクセルケーブル固定金具 → ガスケット → エンジン本体 の順に組付けられています。
補足 チョークの説明
キャブレター取り付け金具を取り外したついでにチョークの説明をします。
通常エンジン稼働時・チョークを開いた状態です。
真ん中の大きな穴からキャブレターへ空気が吸い込まれます。
エンジンがかかりにくいときにはチョークを閉じてエンジンを始動させます。
チョークを閉じるとキャブレターへ空気が入る穴が塞がれ、チョーク部品の小さな穴から空気が吸い込まれます。
チョークを閉じる事によって、濃い燃料(空気が少なく燃料が多めの燃料)がエンジンに供給されます。
次頁からキャブレターの分解・掃除・組み立ての説明です。
コメント
新品のキャブレターの交換は、必要ありませんか?
藤墳 明 様 コメントありがとうございます。
メーカー純正の正規型式のキャブレターが入手可能であれば、キャブレター交換の方が簡単だと思います。(必ずしも新品のキャブレターに交換が必要という訳ではありませんが)
何十年も放置されて、内部の金属部品などが再利用不可の場合は新品のキャブレター交換の必要があります。
自分でキャブレター掃除を行う場合の、ダイヤフラム等の部品代・キャブレタークリーナー等の消耗品代・ご自分の手間賃・ご自分の技術力 等を考慮してご判断下さい。