DIYで機械の修理をしていると、錆び付いて固着したプラスネジを緩めたい、と言う場面に出くわします。
錆び付いたり・焼き付いたり・緩み防止剤を塗布して固定してある場合、力任せにドライバーで緩めようとするとかなり高確率でネジの頭の+溝を潰してしまい後で後悔する事になります。
前書き~使い方とは直接関係ないので読み飛ばしても問題ありません
30~40年前は電動式(充電式)のインパクトドライバーは高価だった為、一般の庶民が趣味で購入するというような物ではありませんでした。
当時はインパクトドライバーと言えば手動のインパクトドライバーの事を指し、電動式の物は 電動インパクト(レンチ) と呼ばれ空気圧式の物はエアーインパクト(レンチ)と呼ばれていて、インパクトドライバーとして使う事はほぼ無かったと思います。
当時は手動のインパクトドライバーも高価で4,000~5,000円以上の価格だった覚えがあります。
インターネットがあまり普及していなかった当時はインパクトドライバーのメーカーは KTC・ベッセル・TONEくらいしか知りませんでした。
1年に数回しか使わない工具としては二十歳前後の小僧にはとても手が出せない価格だった為、錆び付いたネジを外す為には浸透潤滑油と貫通ドライバーと金槌(玄能・トンカチ)で根気よく頑張ってネジを外していました。
現在は、一般的にインパクトドライバーと言えば充電式のインパクトレンチ・ドライバーの事を指しています。
手動のインパクトドライバーの呼び方は
昔からインパクトドライバーを作っていたメーカは インパクトドライバーと呼び
新規参入のメーカーは ショックドライバーと言う呼び方もしているようです。
現在は私も充電式のインパクトレンチ・ドライバーを持っているのですが、きちんと使いこなす事が出来ておらずネジの溝を何回か壊しているので、固く締まったプラスネジ(マイナスネジ)を外す際は手動のインパクトレンチを使用しています。
現在は安いインパクトドライバーが色々販売されていますので、機械弄りをする方やDIYをする方は1本持っていると良いかと思います。
インパクトドライバーの使い方とコツ
簡単にいうとインパクトドライバーの使い方は
- 外したいネジが付いている物をしっかり固定
- ネジの溝に合った大きさのドライバービットを使用
- インパクトドライバーの回転方向切り替えを、回したい方向にセット
- インパクトレンチを手でしっかり保持して
- インパクトレンチの上を金槌で叩く
これだけの事ですが、使い方のコツが解らないと最初はうまくネジを緩める事が出来ないかもしれません。
実際にネジを外す様子・コツを写真入りで説明していきます。
外したいネジが付いている部品をしっかりと固定する
説明するまでもない話かと思われるかもしれませんが、相手の部品がしっかりと固定されていないとネジを緩める事が出来ないだけでは無く、思わぬ事故につながる可能性もあります。
相手の物の大きさによって固定方法は変わってきますが、大きな万力(バイス)等が有ると作業を安全かつ確実に進める事が出来ます。
使用する工具はこちらのアネックス(ANEX) ネジとりインパクト No.1903-N です。現在は色々な工具が安く手に入るのでご自分の用途にあった物を選んでください。
私がこの工具を選定した理由はインパクトドライバーと、溝をなめてしまったネジを外す ネジ取りビット という物がセットで付いていた為に店頭で衝動買いです。
ネジ取りビットはまだ使った事が無いので説明は省略します。
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今回の見本はこちら、INAX(イナックス)のLIXIL(リクシル)シリーズの浴室シャワー用フックのネジです。
壊れてしまった部品なのですが、分解して手前のシャワーを咥える部分だけ使用したかったので、分解する事にしました。
中にプラスネジが付いていて、普通のドライバーで手で外そうとしたのですが、びくともしません。
プラスネジの溝の大きさは#2でぴったり合いました。
威張って書く事ではありませんがネジの頭の溝を潰すという失敗を何回も経験していると、〔これ以上無理をするとネジの頭の溝をなめて潰してしまうな〕と言う力加減が感覚で分かる様になってきます。
ネジの反対側を見るとナットが埋め込まれていて、中のネジは赤い色をしています。
これは緩み止め防止剤を塗布して、使用中に緩んでしまわない様にしっかりと留めている様です。
ネジが付いている部品をしっかりと固定する為には大きな万力(バイス)を使って、製品を傷つけない様にゴム板か布等で養生して固定するべきですが、生憎私は大きな万力を持っていません。
手元に有る物を利用してうまい具合に固定出来る方法を考えます。
ナットが付いている穴に回転防止の為に木の棒を差し込みます。
余談ですが、この木の棒は山椒の木の剪定で切り落とした枝で すりこ木 を作ろうと思いそのまま1年以上乾燥させていた物です。
土台部分は荷物搬送用の木製パレットの切れ端です。
製品の幅に木の隙間を合わせて置き、横に刺した棒を足で押さえて固定する事にしました。
ネジの溝に合った大きさのドライバービットを使用し、インパクトドライバーの回転方向切り替えを回したい方向にセット
今回のプラスネジの溝の大きさは手で外そうとしたときに確認済みで +#2 です。
使用するビットは力の分散を避ける為出来るだけ短くて丈夫なメーカー純正品を使うべきですが、今回は標準ビットではネジに届かない為少し長い社外品を使用します。
ビットのサイズ確認を誤るとネジの溝をなめて潰してしまいますので、しっかりと確認します。
インパクトドライバーの回転の向きを緩める方向へ合わせます。
説明書きでは、このインパクトドライバーの場合は先端部を回して L (左回り)に合わせます。
しかし、このインパクトドライバーの場合は難しく考えなくても、緩めたいネジにドライバーの先を押し当てて緩める方向に手で力を入れて回せば回転方向のセットが出来ます。
メーカーや作られた時期によって回転方向の切り替えは違いますので、お使いになるインパクトドライバーをよく確認して回転方向をセットしてください。
昔のインパクトドライバーは、L↔R の切り替えを、柄の部分に付いた縦方向のスライドレバーで切り替える方式の物が有った記憶があります。
インパクトドライバーを手でしっかり保持
インパクトドライバーを下方向(ネジの方向)へ強く押し当て、緩めたい方向へ少し力を入れます。
ネジを手で緩めるくらいの気持ちで力を入れます。
押さえつける力は、金槌で叩いたときに反動で浮き上がってしまう様では力不足です。
回転方向への力は、インパクトドライバーの回転力を確実に伝える為に、ビットの側面とネジの溝の側面が強く当たっていることを意識しましょう。
インパクトレンチの上を金槌で叩く
後はハンマーでインパクトドライバーの上を叩けばよいのですが、力任せに強く叩けば良いという物では有りません。
強く叩きすぎる事の弊害として
- ネジを回す力より、雄ネジと雌ネジの摩擦抵抗の方が勝ってしまい、ネジが回らない。
- 上記の結果最悪の場合ネジ全体を壊してしまう。
- 手でインパクトドライバーを押さえる力とも関係しますが、叩いた反動でインパクトドライバーが浮き上がってしまうような事があると回転方向 L ↔R が切り替わってしまう可能性もあり得ます。
ネジの状況によってどのくらいの力で とは言えないのですが、軽くたたく状態から少しずつ叩く力を強めていきます。
ある程度の強さの所で少し回転しますので、慌てず根気よく叩いていきます。
今回使っているインパクトドライバーの説明書きには 最大約45度回転 と書いてありますが、これはインパクトドライバーの設計上の数値であり、初めから45度緩む訳ではありません。
ネジの状態によりますが、1~3回位インパクトドライバーで緩めれば、後は手でネジを緩める事が出来ます。
緩み始めてからもインパクトドライバーを使い続けると雄ネジと雌ネジを傷める事にもなりかねないので、手で緩められる様になったらインパクト機能は使わずに手でネジを緩めるようにしましょう。
ネジの頭の溝をなめて潰してしまう事なく、無事綺麗に、緩み防止剤で固定されていたネジを外す事が出来ました。
今回は樹脂製品に付いていたネジを外す方法を紹介しましたが、金属同士の錆び付いたネジを外す場合は、ネジの頭を数回叩いてショックを与えて(錆の間に目に見えないくらいの小さな隙間を作る)から浸透潤滑剤をたっぷり注入(吹き付け)して、1~2日間置いて潤滑剤が浸透する時間を置いてから作業する事をお勧めします。
おじさんの理屈(屁理屈?)から考えると浸透潤滑剤として売られている物でなくても粘度の低いミシン油などを使えば毛細管現象でネジの隙間へ油がしみ込んでいく筈です。
以上、
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