中古で購入した3000円のエンジンポンプ。
潅水用ポンプの動力源、ホンダの4サイクルOHVエンジンGX31の修理の続きです。
AliExpress へ 発注したカムが手元に届いたので、一気に組み込み修理完了まで行います。
擦り減ってほとんど役割をはたしていなかったカムを交換する事でこのエンジンは調子よく動く様になる筈 です。
到着したカムと従来品を比較
カムギヤの取り外しは中心の軸を抜いて、軸とカムギヤを取り外します。
左側が純正部品の擦り減った物、右側が今回購入した補修部品です。
表側の変更点は純正品はカムの材質が樹脂の一体成型 に対して、新規購入の補修部品はカムの部分が金属製になっています。
耐久性は格段に上がっていると思うのですが、接触するプッシュロッドアームも金属製なので次に摩耗で調子が悪くなった時には、金属同士の摩耗でカムとプッシュロッドアームの両方を交換しなければいけなくなるかもしれません。
でも、このカムの部分は(多分)エンジンオイルが回る(掛かる)部分で、金属の摩耗はあまり考え込まなくても良い部分だと思います。
裏側は、純正品はカムギヤの中に何か組み込まれているのに対し、互換補修部品は何もついていません。
多分使用に関して大きな違いは無いと思われます。(希望的観測によります。)
カムの寸法は?
カムの狭い部分の寸法は純正品が19.6mmに対して補修用互換品は19.2mm
カムの長い部分の寸法は純正品23.9mmに対して補修用互換品は23.3mmです。
但し、純正品はすり減っていない残りの部分を測っているので、変形して長くなっている可能性はあります。
単純計算では
純正品のカムの移動長さ:23.9-19.6=4.3mm に対し
補修用互換品のカムの移動長さ:23.3-19.2=4.1mm です。
ちなみに、純正品のすり減って短くなった部分の寸法は20.8mmでした。
23.9-20.8=3.1
純正部品は3.1mmくらいすり減ってしまった状態のようです。
余談・蛇足ですが、純正品のギヤの中身を見てみました。結果:なぜこういう構造にしてあるのか?おじさん(私)には分かりません。 この項目は読み飛ばしていただいて構いません
純正部品のカムギヤの裏側を分解してみました。
分解時に中の部品の組み合わせがズレてしまったようです。
出来れば補修用互換品に中身を移植したいのですが、取り付ける凸部が無い為、移植はできません。
多分、このような形で中に組み込まれていたと思われます。
バネの力でアーム(半月型?の長い部品)が中心方向に向かって押される形です。
すり減ったカムギヤを見ると中の金属部品が透けて見えます。
金具を外して裏をみると、金具に三角の切り欠きがあり、
金具が入る穴にも三角の廻り止め?があります。
樹脂の三角部分が削り落とされると、バネの力で左の写真の位置にバランスアーム?が動いていくはずです。
バランスアーム?の位置が変わり、重心の位置が変わると思うのですが、だからどうなるのか?が、解りません。
停止時に重心が中心に近くなるとは思うのですが、運転を始めると遠心力で元の位置に動いていく気がします。
HONDAの技術の方が考え抜いて設計した物だと思うので何か大きな意味がありそうですが、おじさん(私)には理解(想像)が出来ません。
追記:ホンダの認定店の修理の方から聞いた話では、このカムギヤ内の部品がある事によってエンジンを掛ける時のロープの引っ張り力が弱くてもエンジンが掛かる様になっている らしいです。
今回のやっちまった件 其ノ一 藪蛇の話
藪蛇=藪をつついて蛇を出す=やらなくて良い余計なことをわざわざ行って事態を悪化させる の意
ポンプの水流を起こす部品を取り付ける部分の下の金具が少し浮いている様な気がして、(結果:気のせいでした)
ゴムの部品を一旦取り外し。
エンジンからの出力軸の周りの部品を細い単管パイプを使い金槌で叩いてしまいました。
やらかしました。
樹脂?の様な部品を粉砕してしまいました。
替えの部品を購入する手段が有りません。
入手できない部品は自分で代替品を作るしかありません。
壊してしまった部品の代わりにゴム板とプラスチック板でワッシャーの様な物を製作して組み込んでみます。
気休めに各部品にシリコーンスプレーを塗布して滑りをよくしました。
ゴムシート・プラスチック部品・元々付いていたバネ入りのゴムパッキンの順で組み込む予定です。
ゴム板:1mm
プラスチック板:1.4mm です。
水流を起こす部品の裏を見るとゴムパッキンと、この水流を起こす中心の部品が適度な力で押し付けられて滑って水漏れを防止していたと思われます。
部品を仮組して試行錯誤の結果、ゴムシートは不要な気がします。
ゴムシートを挟むと中心の部品が浮きすぎてしまい、
結果ゴムパッキンが強く当たり摩耗が激しくなりそうです。
プラスチック板と元々の部品の組み合わせで、左の写真のように少しスクリュー部品が浮いた状態になります。
スクリュー部品が少し浮いた状態で組付ければ、ゴムパッキンが適度な力で押し付けられ、滑り易くなる。 筈です
補修用互換カムギヤを取り付けてエンジンの組み立て
今回購入したカムギヤを組付ける段階になって
擦り減ったカムギヤを外す前に、取り付け角度をきちんと確認していなかったことに気が付きました。
幸い、カムギヤを外した後はエンジンの軸が動く様な作業はしていません。
ギヤを取り外す前の写真を元に同じ角度にギヤを取り付け、
改めて、フラーホイールを軽くはめ込んで位置確認を行います。
カムのカバー金具を取り付けて、
フライホイールを仮組して、
フィンの切り欠き部がカムのカバーの凸部の下になる位置にして
この角度を保ったまま、フラーホイールとカムのカバーを取り外し
テーパー(傾斜付き)の出力軸のキー(廻り止め)が真上に来た時に、カムの一番飛び出た部分も真上になる位置
これで良さそうです。
スパークプラグの取付穴からもピストンが上死点にある事を確認しました。
プッシュロッドアームの取り付け、
ちなみに
プッシュロッドアーム・カムギヤ共に取り付け軸は簡単に抜ける様になっています。
バルブクリアランスの調節は 初めからやり直しになりますので、
一旦、ロッカーアームのバルブ調整ネジを取り外し、取り外した部分へプッシュロッドを落とし込み、バルブ調整ネジを取り付けます。
この時プッシュロッドの下側がプッシュロッドアームの溝にきちんと乗っているか確認します。
インポート側(キャブレター側)の隙間は0.12±0.02mm
エキゾーストポート側(マフラー/消音器 側)の隙間は0.15±0.02mm
に調節します。
バルブクリアランスの調整の詳細は こちら
イグニッションコイルの取り付け(隙間調整)
あとは元通り組み立てていくだけですが、イグニッション コイル?(スパークプラグ発火用発電部品)の取り付け方法のコツ(おじさん流)を記載しておきます。
イグニッション コイル?(スパークプラグ発火用発電部品)は、フライホイールに組み込まれた磁石の動きとの関係で発電・スパークプラグの点火を行います。
フライホイールとの隙間が均一になる様に取り付けなければ いけないのですが、やり方を知らないと、とても難しい作業になります。
逆に言うと取り付け方を知っていれば、とても簡単な作業です。
フライホイールを回転させ、磁石が組み込まれた部分をイグニッションコイルの取り付け位置近くになるようにします。
適当な厚紙を磁石の上に置いて
イグニッションコイルを近くへ持っていくと磁石の力で、
イグニッションコイルとフライホイールがぴったりとくっつきます。
この時、イグニッションコイルとフライホイールの間に適当な厚紙を挟み込んだ状態にします。
厚紙を挟み込んだ状態のままイグニッションコイルを取り付けネジでしっかりと固定します。
後は、フライホイールを回しながら厚紙を抜き取って完成です。
本当は、隙間が 0.何ミリ と、決まっていると思うのですが、こんな適当(いい加減)な取り付け方で充分対応可能です。
(適当っていう言葉は、漢字の意味からも 適して当たっている という意味もあります)
→この案件に対してはこの方法が適当であると考えられます。
仕上がりはこんな感じで、
左右の隙間が適度に保たれています。
エンジン単体で試運転
スターターロープ部とエンジンカバー、アクセルワイヤーを取り付けて試運転。
キャブレターの給油ポンプ(半球型の透明な部分)をガソリンがタンクに戻るまでペコペコして、
チョークを閉じて、
アクセルを少しだけ開けて、
スターターロープを引く事、2回目でエンジンが掛かりました。
チョークを開き、しばらく暖機運転をしてアクセル操作をしてみると、
アクセル全開までスムーズに加速します。
アクセル半開くらいで暫く慣らし運転をしてエンジンが温まって(熱くなって)来ると、マフラーからモクモクと白煙が発生。
・ひょっとして、ピストンリングが逝ってしまって(摩耗しているか/折れてしまったか)、4サイクルエンジンが廻り込んで燃えている?
いや、多分それはありません。
このエンジンを掛ける時には、土台を足で踏みつけて固定して・さらに片手でエンジン(カバー)を押さえつけてスターターロープを引っ張らないと、エンジンが移動してしまってエンジンを掛けられないくらいの圧縮があります。
圧縮があるという事は、ピストンリングはちゃんと仕事をしている筈です。(4サイクルオイルを掻き落としています)
・燃料は、今回は間違えずにちゃんとレギュラーガソリンを入れています。
・考えられることは、エンジン内部の洗浄に使ったキャブレタークリーナー・パーツクリーナーがエンジン内(多分 バルブ/弁の上)に残っていて、エンジンが高温になった事により燃えて白煙が出ているのだと思われます。
アクセル半開くらいの状態で5分間位様子を見ていると白煙が少なくなってきました。念の為もう5分間(合計10分間)くらいエンジンを掛けっぱなしにして様子を見ると白煙は出なくなりました。
白煙が出なくなった時点で再度アクセル全閉から全開まで操作してエンジンの調子を見てみます。
エンジン単体では絶好調、良い仕上がりです。
しかし、アクセル全閉時のアイドリング調整は必様です。
キャブレター上部のアイドリング調整ネジを操作して、暖機運転後のアイドリング(エンジン回転数)を調整します。
キャブレター分解・清掃・調整の詳細は こちら
エンジン単体は仕上がりました。
ポンプ部を取り付けていきます。
ここからは単純作業で元通り組付けていくだけです。
フライホイールにポンプの出力軸を取り付け
フライホイールカバーを取り付け
ポンプの固定部取り付け
この工程だけは慎重に行います。
出力軸のベアリングが真っ直ぐにはまる様に4か所の取り付けネジを均等に少しずつ締め込み、取り付けします。
土台の板への取り付けも忘れずに行います。
水流を起こすスクリュー?を取り付け
ポンプの外枠?を取り付け
後はカバーを取り付けて、アクセルワイヤー・スパークプラグ等を取り付けて完成です。
写真を撮った向きが違いますが、各部掃除も同時に行った為大分見た目が良くなりました。(自己満足です)
実際に水を出して動作確認 一回目
壊してしまった部品が有るので水漏れ対策に関しては不安が残りますが、エンジンが調子よく動くのでしっかりと水を噴き出してくれるはずです。
懸念される事項
このポンプの吐出口の内径は25.4mm(1インチ)なのですが、
普段使っている散水用のホースをワンタッチで繋ぐ為に、ワンタッチカプラーを取り付けています。
水の通路が一旦
内径25.4mm → 8.6mmに狭められます。
内径が一旦狭くなることによって、圧力が上がるのか?それとも圧力損失になるのか?
学生時代に物理?の授業で教わったはずですが、内容は覚えていません。
さらに内径15mmのホースで10m延長
+接続カプラーで内径8.6mmに狭められた後に内径15mmのホースで10m延長
合計20mのホースを繋いで確認します。
送水距離による圧力損失はどんなもんでしょう?
実際にホースを繋いで動作確認
給水ホースを接続して川の中へ投入
ポンプ部上部のネジを外し、呼び水を口元いっぱいまで入れます。
ポンプ部上部のネジを閉めて
エンジン始動!
いい感じです。
この状態で少し暖機運転を行い、エンジンの回転数を上下させてみました。
かなりの勢いで水が吐出されます。
次に10mの長さのホースを繋いでノズルを直噴にしてみると
正確に距離を測っていませんが、7メートルくらいは水が出ていると思います。
ノズルを散水に切り替えてみました。
写真では解り辛いのですが、家の水道からの散水時よりも勢いがあります。
さらに10mのホースを繋いで、合計20mのホースで放水の勢いを確認。
10mのホース接続時と比べてあまり差が感じられません。
ポンプの送水能力が高い為か、20mの距離くらいは延長しても何の問題もなさそうです。
アクセル半開くらいで充分な圧力があり、それ以上アクセルを開けても水量はあまり変化が無いように感じました。
絶好調! ? ポンプ本体を見ると
かなり多い水漏れが発生しています。
どうやら自作したスペーサーでは力不足(厚さ寸法不足)なようです。
水漏れ対策とその後の 動作確認 二回目
一度ポンプ部を分解して、水漏れ対策のやり直しです。
製作した物の、使用しなかったゴム部品と先ほどまで入れてあった樹脂部品を組み合わせて、
厚さ2.4mmの底上げをします。
ゴム部品・樹脂部品の順にはめ込んで
ゴムとバネが組み合わさった部品をはめ込み
部品を載せた状態で3mmくらいの隙間が出来ます。
これを組付ければ水漏れも少なくなる予定です。
ポンプはめ合わせ部からの水漏れは相変わらず少しずつ漏れています。
気休め程度ですがゴムパッキンが当たる部分をスクレーパーで(腐食した部分を)削り平らにしてみました。
組付け後の動作確認
アクセル半開くらいで充分吐出力があります。
水漏れも少しは改善されています。
シャワー放水を行っていた所、だんだん目詰まりを起こして水が出にくくなってきました。
ノズルを操作して水の出方を変えて水やりを行いました。
川からジョロ(ジョウロ/如雨露)で何回も水を運ぶ事と比べると、とても楽に水やりが出来ます。
今回のやっちまった件 其の二 危機管理能力の欠如(けつじょ)が起こした悲劇~エンジン破損
快調に水やりをしていると、いつの間にかエンジンポンプから カラカラ と異音発生
異音が発生した場合は一旦エンジンを止めて原因を確認するべきです。
おじさんの場合 危機管理能力が不足している(いた)ので、エンジンが動いている状態のまま目視で音の原因を確認。
燃料タンクの上に小さなネジが落ちていました。
ここで、エンジンを止めて修理をすればよかったのですが、何を思ったかエンジンが動いている状態のままエンジンポンプを傾けてネジを手元に落とそうとしてしまいました。
バキバキッ・ガツンと一瞬音がしてエンジン停止、
ネジがフライホイールの部分に入り込み、1~2周して吐き出されています。
フライホイールの冷却フィンを壊してしまった感じです。
吐き出されたネジを拾い上げ無くさない様にポケットにしまい、再度エンジンを掛けてみようとすると・・・スターターロープが全く引けません。
エンジン(フライホイール周辺)を壊してしまったようです。
(多分、エンジンの焼き付きではないと思います)
時間を置いて冷静に記事を書いてると 怪我をしなくて良かったね っていう話です。
金属の破片が跳ね返って顔に当たったりしていたら大事です。
もしも目に当たっていたら と考えるとぞっとする事件です。
エンジンポンプの修理シリーズは今回が最終話になる予定だったのですが、まだ終わる事が出来なくなりました。
以上、
次回
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