イセキの田植機 さなえちゃん40(PS40) を1年ぶりに小屋から出してみたところ
姿勢が悪く、極端に左に傾いていました。
姿勢を正してあげないと真っ直ぐ田植えが出来ないような気がしますので、修理しました。
結果としては 原因追及で動かしているうちに直ってしまった のですが、
意味不明で治ってしまった だけでは記事として面白くもなんともないので、原因の究明と修理方法案を書き留めておきます。
さなえちゃんの生い立ちと現状
おじさんの住むいなかでは専業農家はあまり多くなく、兼業農家の方が多いような地域です。
かつて施行されていた減反政策により、田んぼとしての作付面積が減っており、
土地の名目上は田んぼでも、
何十年も野菜作りなどの畑として転作して使っていた土地は土の状態が変わってしまっているので、減反政策が無くなったといってもそう簡単には田んぼに戻す事が出来ません。
田んぼの収支は赤字経営のままです。
赤字経営の田んぼの為に何十万円もする田植え機を持つことは合理的では無い為
我が家の田植機はよその家と共同で使っています。
入手経路は専業農家で何年も使っていた物をお下がりで安く譲ってもらった物で、2軒で共同使用しています。
多分30年位前に製造されたものです
この田植機は1年間のうち 我が家で半日、もう1軒で半日しか働かない箱入り娘です。
(実質 移動時間を除けば我が家で3時間、もう1軒で1時間 年間で4時間しか働いていません)
この田植機は我が家のシャッター付きガレージで保管管理し、春先に我が家で点検装備後半日稼働
その後もう1軒に預けて1週間後くらいに洗車されて帰ってくるという使用状況です。
ちなみに3年位前にキャブレター調整をして無駄に高速運転出来る仕様になっています。
田植前の機械点検をしてみたら車体が極端に左に傾いている
農機具ガレージから出すときに気づいたのですが、車体が傾いています。
とりあえず油圧レバーを操作し、車体を上昇させて家の隣まで持ってきたのですが
油圧を抜き車体を下降させてみてみると
前方から見ると右方向(操作方向から見ると左方向)へ極端に傾いています。
昨年のことを思い出してみると・・・
・・例年はよその家が使い終わった後、我が家の庭先まで持ってきて置いて行っていたのですが、
昨年は返却時に 我が家の農機具用ガレージのシャッターを勝手に開けて中へしまい込んでいってくれました。
・・・何かやらかしてるな・・・
ちなみにボンネットが割れているのも、センターマスコットが無くなっているのも、他に・・・も 我が家の仕業ではありません。
保管してすでに1年たっていますし、そもそも そのもう1軒はおじさんの少し年上の先輩の為、文句も言いづらい(言えない)ので・・・
春先はトラクターや管理機や田植機他の機械が一斉に稼働し始める時期なので、農機具屋のサービスマン(修理担当者)が一番忙しい時期です。
農協やイセキに修理を依頼してもすぐに対応してもらえるとは限りません。
とりあえず自分で修理調整をしてみて、直らなかったら業者にお願いする事にしました。
試しに車体を上昇させて見ると
きちんと水平に上昇しています。が
車体を下降させると元通り、傾いてしまいます。
故障個所の推測 其の1 (ここではなかった)
車体を1周して目視確認
外観から疑った箇所は車体を上昇させるための油圧シリンダー周辺です
写真の様に取付穴が2か所あります。
この取り付け位置をわざわざ弄ったとは考えづらいのですが 一応確認の為、メーカー イセキさんのホームページから取扱説明書をダウンロードして確認しました。
この取付穴は深田用と浅田用で、田んぼの状態によっては取付位置を変える様になっています。
が、左右同じ位置になっていれば問題無く、メーカー出荷時の設定で深田用位置になっています。
問題はこの部分ではなさそうです。
故障個所の推測 其の2 弄っているうちに直ってしまいました
最初から疑っていた部分ですが、
ローリング固定レバーです。
このレバーの切り替えで解除にすると あぜぎわや耕盤が凸凹のほ場での植付け時に車体が自由に左右に傾き、水平を保ちやすくなります。(車体は下のフロートで支えられている状態です)
このレバーを解除位置にすれば自由に車体を傾けられるはずですが、
レバー解除位置で力任せに傾けを直そうとしてもびくともしません。
レバーの裏側を覗いて、レバーを操作してみると
レバーを固定位置にしたときにワイヤーが送り出される構造ですが、
レバーを動かしてもワイヤーが動かず、固定位置にするとワイヤーが緩む状態です。
どうやらこのワイヤーの先に原因が有りそうです。
ワイヤーの先の部分で何かが引っ掛かっているか、ワイヤーがワイヤーカバーの中で錆び付いて固着してしまっているか のどちらかだと推定できます。
先に載せてある写真ですが、実は車体を上昇させた状態では水平になる という説明の為の写真を撮っていなかったので、
ここで改めてエンジンをかけ、車体を上昇させて写真を撮りその後油圧レバーを操作して車体を下げると・・・・・
何故か傾きが直ってしまいました。
結果オーライなのですが、
傾いたまま固定されてしまっていた原因の部分をしっかりと確認修理しておかないと、同じ症状が出る可能性があるのでローリング固定レバーの先の部分を見てみる事にしました。
故障個所の推測(たぶん確定) 其の3 バランサーウエイト?の固定と解除箇所
ボンネットの外し方
ボンネット前部のフックを外します。
具体的には、
車体の前方へ行き、ボンネット先端下部を手前に引っ張りながら上方向へ外します。
次にボンネット後方のフックを外します。
ここは本来力任せで持ち上げて外してよい部分なのですが、ボンネットが経年劣化で割れてしまうのが怖いので
マイナスドライバーで こじ上げて外しました。
ボンネットの前後のフックを外した後、前方へ抜き取りボンネットを外します。
バランサーウエイトの固定と解除
ローリング固定レバーからのワイヤーは白色のカバーなので、先端部分は直ぐに見つかりました。
鉄の塊の重りにつながっています
この部分の正式名称は分からないのですがここでは便宜上バランサーウエイトと呼ばせて頂きます。
ローリング固定レバーを操作すると
ローリング固定レバーが固定の位置の時はバランサーウエイトの穴にピンが突き刺さった状態になります。
バランサーウエイトを横から押してもびくともしません。
ローリング固定レバーが解除の位置の時はロックピンが引っ張り出されます。
この時バランサーウエイトは自由に左右に振られます。
(車体が傾いてもバランサーウエイトは垂直を保つ位置に行こうとします)
ロックピンやワイヤー部の状態は錆も無く問題になりそうなところは見当たりません。
今回の故障の原因推定
今回の故障内容から推測すると
ローリング固定レバー解除の状態で、車軸と車体が極端に傾いた状態で植付け作業を行い
その状態のままでローリング固定レバーを固定位置に動かした為、
バランサーウエイトが大きく傾いたままの状態でロックピンが押し出され、
固定穴から外れた場所を無理やりロックピンで押し付けてバランサーウエイトが傾いたまま固定してしまい、車体が異常に傾いた状態で固定されてしまった と推定します。
直ってしまった要因は?
今回はローリング固定レバーを解除の位置にして(ロックピンを引っ張っている状態で)車体を油圧で上下させた為
上下させた時の振動(衝撃?)で、おかしな場所を押し付けていたロックピンが外れた為ではないかと推測します。
おまけ 参考までに 修理方法案
ローリング固定部分のバネを直接指で引っ張ってみました。
指の力だけでも上の写真程度には引っ張る事が出来ました。
もし、同じ症状で困っている方がいればこの部分のバネを無理やり引っ張ればおかしな傾きを直せると思います。
他にも、ローリング固定レバーを固定位置よりも下へ無理やり操作する という方法も有りそうです。
以上、
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