イセキの田植機さなえちゃん。歩行田植え機・4条植え・PS40
たぶん1988年製だと思うのですが、現役で毎年良い働きをしてくれています。
専業農家さんからのお下がりで使い続けている物ですが、前進方向に向かって 4条植えの右から2番目の部分だけ苗取り量が違い(少なく)、苗の補給のタイミングがズレてしまいます。
これは自分で調節出来る筈なので、試行錯誤の末 修理完了しました。
ついでにゴムガイドを入手して交換も行いました。
取扱説明書にも載っていない、列ごと(条毎)の調整が自分で出来ると思う理由
4条植えの田植機で列によって苗取り量が違ってしまうと当然均一な田植えが出来ず、列によって一株の苗の量は違ってしまいます。
(多分収穫に多少の影響が出ると思いますが、稲の苗は分けつして増えるので多少の誤差はあまり影響がない様な気もします。)
我が家の田植機さなえちゃんは専業農家さんからのお下がりなので、取扱説明書が有りません。
でも大丈夫、井関農機株式会社さんのホームページ、お客様サポートの部分で取扱説明書の閲覧が出来ます。
しかし、取扱説明書を端から端まで熟読したのですが、列ごと(条毎)の苗取り量の調節方法が記載されていません。
でも、自分で(ユーザーが)調整出来る筈です。
なぜ自分で調整修理出来る筈だと言い切れるのか、と言うと
付属工具の中に、写真の金具が入っているからです。
正式名称は、ナエトリクチゲージと言うらしいのですが、要は苗を取る量を調節する時に使うゲージ(測定具)です。
このゲージが付属工具に入っているという事は、当然(ユーザーが)自分で調節する為に入っている筈です。
ナエトリクチゲージを使って、苗取り量の確認
写真で手順を説明します。
先ずは、作業中にさなえちゃんが動き出してしまわない様に
走行レバーを中立の位置に合わせます。
メインスイッチは 停止の位置
植付けクラッチと主クラッチは 入 の位置にします。
この状態でリコイルスターターノブ(エンジンを掛ける時に引っ張るひもの部分)をゆっくりと引き、苗取り直前のところまで動かします。
苗取り直前の部分まで苗取り爪(正式名称:分離針)を動かした後
植付けクラッチと主クラッチを 切 の位置にします。
植付けクラッチと主クラッチを 切 にする事で、田植え機の苗取り爪の部分を手で動かす事が出来る様になります。
力と根性が有る方は初めから手動で苗取り位置まで爪(分離針)を動かす事が出来ると思いますが、結構力がいります。(初めから手で動かしたい場合はエンジンのプラグを抜いておくと楽にできるかもしれません)
苗取り量調節レバーと植付け深さ調節レバーを標準の位置に合わせます。
(三角印の部分に合わせます。)
これでようやく苗取り量の確認の準備完了です。
ナエトリクチゲージを苗取り部分にはめて、爪(分離針)の先端を傷つけない様にそっと手で動かしてゲージに当てて位置の確認を行います。
右から1番目・3番目・4番目の爪はナエトリクチゲージの下から2番目の長い線の位置に合っています。
ナエトリクチゲージの下から2番目の線が長いので、ここが基準で合っていると思われます。
右から2番目の苗取り位置は一番下の線と2番目の線の間です。
予想通り、この場所だけ苗取り量が少なくなっています。
苗取り量の調整・爪(分離針)の位置調整では対応不可でした。
右から2番目の爪の位置がずれている事は解りました。
問題はここからです、どうやって調節するんでしょうか?
爪の飛び出し量調節で対応しようとしたのですが、対応不可です。
爪の取り付けネジを緩めて爪をスライド移動させようとしたのですが、ほとんど動きません。
(別件で後述しますが、右側のゴムガイドがちぎれかけています。)
爪(分離針)の飛び出し量の調節で何とかなるのではないかと思っていたのですが、どうやら違う様です。
爪(分離針)の固定箇所はネジの位置が決まっていて爪(分離針)の飛び出し量は調整出来ません。(丸くへこんだ部分に取り付けネジが入るようになっています。)
爪(分離針)の飛び出し量の調節が出来ないのであれば、爪(分離針)が摩耗で短くなっているかもしれないと思い、正常な位置になっている爪(分離針)と比べて見たのですが、大きく摩耗した様では無く長さはほぼ一緒です。
どうやら爪の前後位置の調整で苗取り量を決めるわけでは無さそうです。
爪の摩耗状態も問題なさそうです。
苗取り量が変わってしまった原因判明。苗取りユニット部駆動軸部の摩耗
じゃあどこを弄って調整すれば良いのか?
苗取りユニットの部分を見回しても調整ネジらしきものは見当たりません。
よく観察すると、苗取りユニットの回転軸部分のベアリングかシールか解りませんが、すり減って隙間が出来ています。
どうやら苗取り量の差が出てきてしまったのは苗取りユニットの軸受け部分の摩耗によって隙間が出来てしまい、右から2番目の植付けユニットが下がってしまっている事が原因のようです。
しかし、田植えを間近に控えたこの時期にここをばらして修理する時間が取れません。
シールであれば素人でも交換できると思うのですが、ベアリングの場合ベアリングプーラーとかベアリングの差込治具が無いと修理が出来ない部分です。
田植直前のこの時期に 間違った素人修理でとどめを刺してしまったら目も当てられません。
今回は時間が無いのでここは見なかったことにして、田植え後に時間の余裕がある時にじっくりと分解してみようかと思います。
苗取りユニット部の取り付け固定部で苗の量を調整(修正)
不具合の原因は判ったのですが、修理は今年の田植に間に合わない可能性が出てきました。
ここは見なかったことにして、とりあえず今年のお田植えに間に合うように苗取り量の調整を続行します。
調整ネジらしきものは無い!という事はどどこかのネジの固定方法で調整が出来る筈です。
苗取りユニットの固定軸部分のネジを外してみます。
ネジに対して、ネジ穴が少し大きめに開いています。
苗取りユニットを手で持ち上げて、締め付けます。
修理成功、
ゲージを当てて確認してみると、下から2番目の基準線に合わせる事が出来ていました。
念のため、仕上げにもう一度4か所の爪の位置を確認してみると・・・
右から3番目の爪の高さがゲージの下から3番目の線まで上がってしまっています。
この田植機イセキのさなえちゃんPS40は構造が右から2番目値3番目の駆動軸は一体になっています。
右から2番目の苗取りユニットの位置調整をした事によって、右から3番目の苗取り量が変わってしまったようです。(直るのか?これは)
気を取り直して右から3番目の植付けユニットの固定軸部のネジを外してみると
ビンゴ! おじさん(私)が探し求めていたのはこういう 調節のできる部分です。
ネジ穴がバカ穴(正式名称:長ネジ穴?)になっていて取り付け位置の調節が出来る様になっています。
こうでなくちゃいけない。
ここも手で持ち上げて、ゲージの位置に合わせてナットで位置決め固定。
再度4か所の苗取り量を確認して、爪(分離針)の位置が同じになっている事を確認して、一応の修理調整完了です。
ゴムガイドの交換
実は、ゴムガイドは1年前に購購入したまま交換していなかったものです。今年のお田植え前に交換しておきます。
1年ほど前のイセキの方との会話
何か困っている事は有りませんか?
古い田植機の部品って取り寄せできますかね?
どのくらい古い物ですか。
多分30年位前のさなえちゃんなんですけど、ゴムガイドは入手出来そうですか?
うちの(イセキの)田植機って、全部さなえちゃんなんですよ。
他の部品は無くても、ゴムガイドは共通部品であるかもしれないので調べてみますね。
届いた物はこちら
注文は 2798-406-220-1A だったのですが、
2798-406-220-10に型番が変わっているようです。
植付け爪が通る部分のゴムガイドです。
対辺7mmのスパナでネジを外していると作業中にゴムがちぎれてしまいました。
下側にもナットが付いているので取り外し
ちぎれてしまったゴムガイドと新品とを並べてみました。
型番は微妙に変わっていますが、物は同等品で間違いなさそうです。
右側のゴムガイド交換修理完了
・・・左側も千切れかけていますね。
全部取り換えた方が良さそうですが、そこそこいいお値段がした気がするので、また状況に応じて対応
問題の先送りをします。
蛇足の無駄話
この、30年以上使い続けているイセキの走行型田植え機さなえSP40ですが、
数年前に、キャブレター調節とアクセルワイヤー調節で、(無駄に?)速い速度で動くようにセッティング済みです。
植付け速度を速くしてもしっかりと植付けされます。
余談ですが、
隣の田んぼで80代くらいの大先輩(おじいちゃん)が乗用4条植えの田植機で慎重にゆっくりお田植えをしていた時に、この歩行型田植え機でお田植えを始めて、植え終わるまでの時間(作業スピード)で勝った事があります。
以上、
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