軽トラの「鉄チンホイール」、サビや商用車っぽさが気になりませんか?「DIYで塗装したいけど、すぐに剥がれたり失敗したりしないか不安…」という方も多いはず。
そこで今回は、ダイハツ・ハイゼットトラックS510Pの標準ホイールをDIYでつやあり黒(ブラック)に塗装してみました。
この記事では、DIYで行う鉄チンホイール(鉄ホイール)の塗装の手順と注意点を紹介します。
結果:DIYでも、下処理をしっかりと行えば見違えるようなホイール塗装が出来ました。
(細かなところを見れば少々難あり)
鉄ホイールをDIYで塗装するときの【一般的な工程】
1. 事前準備・取り外し
- ホイールの取り外し: 安全性と仕上がりのために、車からホイール(タイヤ)を取り外します。
2. 下地処理(とても大事な工程)
- 洗浄: ホイールに付着したブレーキダスト、泥、頑固な油汚れをカーシャンプーやホイールクリーナーで徹底的に洗い流します。
- サビ落とし: 鉄ホイール特有の茶サビがある場合は、ワイヤーブラシや耐水ペーパーや研磨パッド(研磨シート)(粗目:#150〜#320程度)を使って削り落とします。
- 足付け(やすりがけ): 塗料の密着性を高めるため、ホイール全体を耐水ペーパーや研磨パッド(研磨シート)(#600〜#1000程度)でこすり、表面に細かい傷をつけます。
- 水洗い・乾燥: 削りカスを綺麗に洗い流し、完全に乾燥させます。
3. マスキングと脱脂(とても大事な工程)
- 脱脂: シリコンオフ(シリコーンリムーバー)やパーツクリーナーを使い、表面に残った目に見えない油分を完全に拭き取ります(油分があると塗料がハジかれます)。
- マスキング: ナット取り付け部・エアバルブ・・タイヤのゴム部分に塗料がつかないよう、マスキングテープや新聞紙、トランプなどをタイヤとリムの隙間に挟んで遮蔽します。
アルミホイールの場合「JWL」などの刻印が見えなくなると、車検に通らない場合もあります。
4. 塗装(重ね塗り)
- サフェーサー(下地塗料)の塗布: サビ止めと発色を良くするため、プラサフ(プライマー・サフェーサー)を薄く2〜3回に分けてスプレーします。
- カラー塗装: プラサフが乾いたら、本番のカラー(黒やシルバーなど)を薄く、回数を分けて(3〜4回)重ね塗りしていきます。
- クリア塗装(仕上げ): ツヤ出しと塗装面の保護のため、カラーが乾いた後にクリア塗料を同様に重ね塗りします。
- マスキング剥がし:塗装後塗料の表面が乾いた状態(半乾き)状態の時にマスキングをはがします。
5. 乾燥・取り付け
- 乾燥: 塗装が完全に乾くまで、触らずにじっくり乾燥させます(目安は24時間以上)。
- 装着: ホイールを車体に確実に取り付けます。(トルクレンチ使用)
*2. 下地処理以降の作業工程をこの後写真を使って詳しく説明していきます。
車に装着したままホイール塗装をしてはいけないわけ
冬用タイヤなどが必要無い地方に住んでいる方などは、タイヤホイールを取り外して塗装するという事は困難な場合があるとは思いますが、
車にタイヤ(ホイール)を装着したまま塗装することはお勧めできません。
理由
- ブレーキローターやパッドに塗料がつくと、摩擦力が落ちてブレーキが効かなくなったり、効きが極端に悪くなったりする。(命に関わる非常に危険な状態になります)
- 取付けボルト付近やホイールの外周部分の塗り残しや色ムラが起こる可能性が高くなります。(仕上がりの悪化)
- ボディやタイヤへのミスト飛散(スプレー塗装は自身の風圧で驚くほど広範囲に飛び散ります)
- 下地処理(足付け・脱脂)が不十分になる。(DIY塗装を上手にしあげる工程では前準備が8割以上)
代わりのタイヤが無い方は、タイヤ1本につき最低でも24時間以上車を使わない条件で、
車をジャッキアップしてホイールを車から取り外して作業することを強くおすすめします。
鉄チンホイールのDIY塗装で用意したもの・道具

- 研磨パッド 研磨シート
- シリコーンリムーバー
- マスキングテープ(18㎜、30㎜)
- マスキングシート(新聞紙などで代用可)
- ホイール専用塗料
- ニトリル手袋(粉なし)
使用した道具は各項目と記事末尾で紹介します。
ホイールキャップ取り外し

ハイゼットトラックの標準タイヤには、樹脂製のホイールキャップが装着されています。
ホイールキャップはタイヤの裏側から、ドライバーの柄の部分などで、コンッと叩けば簡単に外れます。
今回塗装作業を行うのは、新車購入費についてきたノーマルタイヤ+純正鉄チンホイールです。
新車購入後1週間くらいでノーマルタイヤに履き替えているのでほぼ新品です。
さび落としなどの必要がないため、足付け作業から始めます。
ちなみにハイゼットトラックなどの標準ホイールは、製造ラインで施される非常に強固な工業用塗装が使われています。
カチオン電着塗装の上に、純正カラー(ハイゼットなら標準的なシルバー)が施されているので、丁寧に足付け作業をすれば、塗装前のベースとして最高の素材が整います。
足付け(やすりがけ)
塗料の密着性を高めるため、ホイール全体を耐水ペーパー(#600〜#1000程度)でこすり、表面に細かい傷をつけます。
今回使用したホイール専用塗料「Holts ホイールカラーペイント」の缶に印刷されている説明欄には、『#1000のサンドペーパーで表面をならしてください』
と書かれています。
一般的にはサンドペーパーを使用して塗装面に小さな傷をつけて、塗料の密着性を高めます。
しかし、サンドペーパーは柔軟性がなく、曲面や狭い部分を足付けするのは困難です。
おじさん(著者)が選んだのはこちら。
- この研磨パッドは大きいので4等分して使いやすい大きさに切断して使います。
- 購入後の状態では柔軟性がなく使いにくいので、いろいろな方向に曲げたり丸めたりして使いやすい柔らかさにしてから使用します。

研磨パッドでホイールの表面に小さな傷を入れる足付け作業は、むきになって力をいれる必要はありません。

研磨パッドをふんわりほぐしてあるので、鉄チンホイールのアール(R/曲がった部分)も人差し指で押さえつつ、適度な力で軽く往復せれば簡単に足付けできます。
この作業は曇り空の下で行ったため、足付け後にホイール表面が光乱反射するようになった変化があまり分かりませんでした。

少し足付け作業をした後、研磨パッドの表面を見ると、削り落とされた塗料が確認できました。
ホイール表面にも削り取られた細かな塗料の粉がほんの少し出ています。

ホイールの外周やゴムバルブの周辺は研磨パッドの端を使って丁寧に足付け処理を行いました。

直射日光の下ではないため、写真では分かりにくいのですが、わずか数分で一本目のホイールの足付け完了。
ホイールについている白い丸印部分を見て頂くと、削り取られた塗料が見えます。
マークが示すもの: 工業製品であるホイールも完全な正円ではなく、微小な歪みがあります。この白い印は、ホイールの中心から測って「一番半径が大きくなっている(外側に凸の)位置」です。
なぜ印がついているのか: タイヤを組み付ける際、タイヤ側の「一番凹んでいる位置(または一番硬い位置など、メーカー仕様による)」と、このホイールの「一番凸の位置」を合わせることで、組み合わせた時にできるだけきれいな正円(真円)に近づけるためです。
足付け作業のやり残しがないか?光を反射させて全体を確認します。
足付けが出来ていれば、
表面のツヤ(光沢)が完全に消えて、全体が白っぽく曇った状態になります。
洗浄・乾燥
この後すぐに塗装作業を行いたい場合には、コンプレッサーエアーと、シリコンオフ(シリコーンリムーバー)などを使ってホイール表面をきれいにします。
しかし、足付け作業で発生した削りかすをできるだけきれいに取り除くためには水洗いをする事をお勧めします。

- 水圧で溝に入り込んだ削りかすを洗い流し
- 中性洗剤などを使って丁寧にホイールとタイヤをきれいに洗浄
- 水をたっぷり使い、削りかすや洗剤が残らないようにきれいに洗い流し
- 完全に乾燥させます
タイヤホイールを洗うときは、画像のように軍手に中性洗剤を含ませてこすると、細かい部分まで手軽にきれいにできます。
マスキングと脱脂
ホイールが完全に乾燥した後、足付けしていない部分がないか再確認後、シリコーンリムーバーなどで脱脂します。
ホイールを塗装してはいけない部分
ホイールを車体固定するボルトとナットの接触部分、いわゆる「ナット座面」ここは金属同が強く擦れ合い、しっかりと密着することでガッチリ固定される仕組みになっています。
ナット座面に塗料が付いていると、塗膜の厚み分だけナットとホイールの間に隙間ができたり、塗装が剥がれるなどの原因で、走行中の振動でナットが徐々に緩み、最悪の場合ホイールが外れる危険性があります。

ハブ接地面(ホイールの中心部で車体側のハブと接触する部分)
ホイール裏側の中心部分で、この小さな面で車体とタイヤが固定しています。
この部分に塗装が付くと車に対してタイヤ(ホイール)がきちんと取り付けられないので振動やが起きやすくなり、ナットが徐々に緩み、最悪の場合ホイールが外れる危険性があります。

エアバルブ(空気を入れる部分)
アクリル塗装などの溶剤にはゴムに対するアタック性
(ゴムが溶けてベタついたり、硬くなってひび割れたり、最悪の場合はボロボロに裂けてしまう)があります。
塗装が完全に乾燥してしまえばゴムとあたっても問題ないのですが、塗装時の溶剤をたっぷりと含んだ塗料をエアバルブにつけてはいけません。
タイヤとホイールのマスキング作業手順
今回はホイールの表側だけを塗装するので、ハブ接地面のマスキングは行いません。
マスキング作業は面倒くさい作業ですが、仕上がりと耐久性・安全性に大きく関係するため手を抜かずにしっかりと行いましょう。
エアバルブとナット座面のマスキング
おじさん(著者)の手順ミスにより、画像と内容に少し食い違いがあります。ここではエアバルブとナット座面のマスキング方法について説明します。
まずは、エアバルブのマスキングです。
ホイール面に手の油がつかないよう、使い捨ての粉なしニトリル手袋を着けて作業を進めます。

バルブの根元は特に注意してぎりぎりの場所をねらってマスキングテープでエアバルブをマスキングしました。
この後、根元部分をつまようじなどで密着させた方が良かったのですが、塗装後に気が付いた事項です。失敗例を後述します。
次にナット座面のマスキングです。

ナット座面のマスキングは本当に難しくて、手間のかかる作業です。
コツは、一度にナット座面全体をマスキングせず、2~3回に分けて短く切ったマスキングープを貼り、はみ出した部分は穴の方向へ折り曲げて処理すると良いでしょう。
この記事を書くために、いろいろと調べてみました。
ナット座面は直径18㎜くらいの丸いシールを貼り付けてマスキングなど
他にも百均の粘土を埋め込むなど、簡単な方法がいろいろあるようです。
マスキングテープでホイール外周とタイヤの境界をマスキング・タイヤの空気抜き

マスキングテープを短く切って、ホイールとタイヤの隙間に出来るだけ深く差し込んで貼り付け。
YouTubeなどで見ると簡単そうにスムーズにやっているように見えますが、実際にやってみるとかなり難しくて手間のかかる作業です。
一旦休憩
ネットの海に飛び込んで情報探し・・・・・
!タイヤの空気を抜けば隙間が大きくなります。!

ピンセットを使ってバルブコア(空気入れ部分の中心の棒)を押し込んでタイヤの空気を抜いてみました。
(ドライバーの先などでも同じ作業は可能です)
いい感じです。


タイヤの空を抜くと、タイヤとホイールの隙間がかなり広がりました。写真ではわずかに広がったように見えますが、実際には作業するのに十分なスペースが確保できるほど下がっています。
こんなに隙間を広くしてホイールの内側に塗料を塗っても大丈夫なのか、不安に思う方もいるかもしれませんが問題ありません。
タイヤとホイールが密着して空気が漏れないようになっている部分、いわゆるビート部分は隙間の奥(下)にあり、この部分はしっかりと密着しています。
しかし、境界線ぎりぎりにマスキングテープを貼り付ける作業の難しさと手間のかかる作業に変わりはありません。
トランプ状のものを差し込んでマスキング
正直な話、おじさん(著者)は、「トランプを差し込むお手軽マスキング」は懐疑的でした。
試しにトランプ状の紙(以下、トランプと表記)をはさんでみると

トランプはかなり急角度で挟まり、ホイール周辺の際までスプレーー塗装が出来そうではありません。
タイヤのゴムのひげバリも邪魔しています。
ひらめきました!
タイヤのひげバリを除去して、トランプを差し込み、トランプをタイヤに沿わせて固定すれば、お手軽マスキングが出来るはずです。

タイヤのゴムのひげバリをニッパーで切断しました。
切断したひげバリがホイールの溝挟まらないよう、タイヤを立てて作業します。
ハサミで切るとひげバリの根元が残ってしまうので、この作業はニッパーを使うと効率よくきれいに仕上られます。
トランプをタイヤとホイールの間に挟み込み、反対側をマスキングテープで固定してみました。

いい感じです。隙間の端までしっかりマスキングできるうえに、作業効率も大幅にアップします。
ここまで作業して、ふと考えました。
このマスキング方法はあまりタイヤをいじるとズレてしまう可能性があるため、
ゴムバルブとナット取り付け面のマスキングを先に行うべきです。
ここでマスキング作業を優先して行ったのですが、この記事ではマスキングの様子は先述した通りです。

ホイールのバランサー取付け部は、念のためマスキングテープでしっかりマスキングしました。

タイヤを地面に置いて作業をすると、腰に負担がかかり過ぎるので、
机の上にタイヤを置いて、椅子に座って作業をする事をお勧めします。
トランプをホイール全周に差し込み、マスキングテープでタイヤに固定。

念のためマスキングシートを貼り付け、広げた後タイヤ外周をぐるっとマスキングテープで固定しました。
ここまでやれば、全体の作業の8~9割完了です。
風のない日を待って塗装作業を行うことにしました。
鉄チンホイールの塗装作業(本番)
使用するのはホイール専用塗料
ホルツ ホイールペイント ブラック 320ml MH11305 です。
安い塗料で塗装する方も多いようですが、おじさん(著者)は、ホイール専用塗料を使用することをお勧めします。
ホルツ「ホイールカラーペイント MH11305」を使うメリット
- とにかくサビに強い(強力な防錆効果)
- 鉄ホイールの大敵であるサビを防ぐ防錆剤が配合されており、過酷な足回りの環境でも長期間サビの発生を抑えます。
- 飛び石や泥に負けない「硬く強い」塗装膜
- 一般的なDIY用缶スプレー(ラッカー等)に比べ、乾燥後の塗装膜が非常に硬く仕上がります。走行中の飛び石、砂利、泥はねによるキズや剥がれに強いのが特徴です。
- ブレーキの熱に耐える(優れた耐熱性)
- ブレーキを踏んだ際に発生する熱は、ホイールに直接伝わります。熱で塗装が浮いたり、ドロドロに溶けたりしない耐熱仕様(耐熱温度150℃)になっています。
- 油汚れやパーツクリーナーに強い(耐溶剤性・耐油性)
- 足回りのメンテナンスで使うパーツクリーナー、道路の油汚れ、ガソリンなどが付着しても、塗装が溶けたり色落ちしたりしにくい高い耐久性を持っています。
- 液ダレしにくく、素人でも綺麗に吹き付けられる
- ホイールの複雑な形状に合わせて、塗料がなじみやすく、かつダレ(液だれ)しにくい絶妙な粘度に設計されています。スプレーの霧も細かく、均一なツヤが出しやすいです。
色々調べてみたところ、ソフト99よりもHoltsのホイールペイントの方が、細かく塗料が噴出されるようです。
艶消し黒や、マッドブラックでホイールを塗装する方が多いようですが、おじさん(著者)の年代の人間から見ると、艶消し黒は昔の鉄チンホイールを使っているようで、塗装する意味がないと判断して、艶ありの黒にしました。
塗装場所は砕石を敷き詰めた地面の上です。
できれば雨上がりのホコリが少ないタイミングを待って塗装するつもりでしたが、天気予報を見ても不安定な天気が続きそうなので、薄曇りで風が弱い時に塗装を行いました。
ホイールに限らず、塗装作業では本塗りの前にプライマーやサフェーサーを使い塗料の密着性を上げる作業を行うべきです。
1. プライマーとは?(=接着剤)
- 主な役割: 塗料の「密着性を高める(剥がれにくくする)」こと。
- 仕組み: ツルツルした金属(鉄やアルミ)やプラスチックは、そのままカラー塗料を塗ってもすぐに剥がれてしまいます。プライマーは、素材とカラー塗料の間に入って両方を強力に結びつける「両面テープ」のような役割を果たします。
- 特徴: 液体自体はサラサラしており、傷を埋めるような厚みは出ません。また、金属用には「防錆(サビ止め)効果」が含まれているものが一般的です。
2. サフェーサーとは?(=パテ代わりの下地調整)
- 主な役割: 表面の「凹凸を埋めて平らにする」こと。
- 仕組み: ヤスリがけでできた細かい傷や、素材の小さなくぼみ・微細な段差を埋め、上から塗るカラー塗料がムラなく均一に、美しく仕上がるように表面を整える「下地調整剤」です。
- 特徴: 塗料の粘度が高く、塗ると厚み(膜厚)が出ます。乾燥後に細かいヤスリで削ることで、鏡面のような平滑な面を作り出すことができます。
3.缶スプレーでよく見る「プラサフ」とは?
DIYで最もよく使われるのは、この2つの機能を合体させた「プラサフ(プライマー・サフェーサー)」です。
- プラ(密着+防錆)+サフ(凹凸埋め)が1本になっているため、工程を大幅に短縮できます。
- 今回のような鉄ホイールのDIY塗装であれば、基本的にはこの「プラサフ」を1種類用意すれば、下地処理としては万全です。
しかし、今回塗装するホイールは新車購入後1週間くらいしか履いていない純正新品ホイールです。
カチオン電着塗装の上に、純正カラー(ハイゼットなら標準的なシルバー)が施されているので、プライマーも使わずホイール専用塗料を塗る(吹き付ける)ことにしました。
(完璧を目指す方は、プライマーやプラサフを使うことをお勧めします)
プラサフやサフェーサーを使用した場合、乾燥後に耐水ペーパーで表面を磨く必要があります。
ホイール塗装当日の準備
外気温約20℃
下準備として、ホイール専用塗料を温めます。

スプレー缶(ホイール専用塗料)を使用前に40℃前後のお湯で温めること(湯煎)には、仕上がりを劇的に良くする3つの科学的なメリットがあります。
1. 霧(ミスト)が細かくなり、ザラつきを防ぐ
- 仕組み: 缶を温めると中の塗料の粘度が下がり、サラサラになります。さらに缶内部のガス圧が高まるため、ノズルから噴射される霧(ミスト)が非常に細かくなります。
- メリット: 塗料がダマにならず均一に広がるため、表面がザラザラ(ゆず肌)にならず、プロがガンで塗ったようなツルッとした綺麗なツヤが出やすくなります。
2. 内圧が安定し、最後まで「ブツッ」とダレない
- 仕組み: スプレーは使い続けると、ガスの気化熱で缶自体がどんどん冷えていき、ガス圧(内圧)が下がってしまいます。圧が下がるとミストが粗くなり、最悪の場合は「ブツブツッ」と大きな液滴が飛んでタレ(液ダレ)の原因になります。
- メリット: あらかじめ温めておくことで最後まで強い圧力をキープでき、残量が少なくなっても安定したきれいな噴射が持続します。
3. 乾燥が早くなり、タレやゴミの付着を防ぐ
- 仕組み: 温められた塗料は、ホイールに付着した瞬間に溶剤の揮発(乾燥)が早く始まります。
- メリット: 塗膜が素早く落ち着くため、垂直に近いホイールの面でも塗料が重みで垂れにくくなります。また、乾きが早いことで、乾燥待ちの間に空気中のホコリや虫が塗装面に張り付くリスクも大幅に減らせます。
⚠️ 注意喚起(必須ポイント)
- 火気厳禁・熱湯NG: コンロなどの直火で温めたり、100℃の熱湯に浸けたりするのは、缶が爆発する危険があるため絶対にNG。
- 適温は40℃前後: 「お風呂のお湯(40℃前後)に5〜10分つける」のが最も安全で効果的です。
塗装前にもう一度、保険代わりにシリコンオフでホイール表面を再度きれいにします。
(今回はこの工程をし忘れました)
塗装作業詳細
今回使うホイール専用塗料は全方向対応ではありません。
スプレー塗装の際に缶を傾けたり水平にすると、塗料がうまく出ないだけでなく、ガスが出てしまうこともあります。
ホイールとスプレー缶の間隔は15~30㎝
使用する前に、カチカチと音がするように容器を十分振り、塗料をよく混ぜます。
今回はタイヤを立てた状態にして、スプレー缶も出来るだけ垂直に保ちながら塗装作業を行いました。

エアバルブ周辺はスプレー塗料が付きにくいため、手でバルブを傾けて隙間を作り、スプレー塗装を行いました。(ここでもニトリルゴムが活躍)
一回目の塗装完了

1回目の塗装は「捨て塗り(バラ吹き)」を行います。完全に色がのらなくてもOKです。
ホイールの周囲はスプレーをぐるっと回して塗装します。
捨て塗りを行う事のメリットは、
- 「塗料が油分で弾かれている場所がないか」を最小限の被害で確認できます。
(もしハジいたら、乾かしてそこだけやり直せます) - 2回目以降の塗料の「足がかり」になる
(2回目以降に塗料がダレる(垂れる)リスクを劇的に減らすことができます) - 複雑な形状の「奥まった部分」に塗料を届かせる
一回目の塗装が終わったら、スプレー缶を湯煎して10~15分待ちます。

使用したスプレー缶は重量が軽くなっているため、湯煎中に倒れてノズル部分がお湯につかってしまわないように固定方法にも注意します。
2度目の塗装の目安

マスキング部分にのった塗料をそっと触って、表面が乾いたか確認します。
表面が乾いた時点で2度目以降の塗装を行います。塗装の芯まで完全に乾く前に2回目以降の塗装をする事で、塗料が一体化して強い塗装になります。

2度目の塗装完了。
*失敗談:この時点で、スプレー直前にシリコーンリムーバーで塗装面を拭き取らなかった事に気が付きました。
結果・ほんの少しホコリも塗装で閉じ込めてしまいました。
後戻りできないのでこのまま作業を進めました。
この時点で、仕上がりとしても良いのですが、1本目の塗料がまだ残っていたので3回目の塗装まで行いました。
塗装完了後はスプレー缶を逆さにして2秒くらい空吹きしてノズル付近の塗料を取り除いて保管します。
塗装後の仕上げ処理
最後の塗装後20~30分後にマスキングを取り外します。
塗料が完全乾燥するためには24時間以上触らないようにするべきですが、完全乾燥した後にマスキングをはがすとホイールについた塗装も一緒に取れてしまう可能性があります。
ホイール周辺のマスキングをはがすときに塗装面をこすってしまわないように注意してまっすぐ引き抜くようにしましょう。
塗装面の確認
ホイール外周・バランスウエイト付近
ほぼ完璧といって良い仕上がりです。

ナット取り付け部 ちょっと失敗

塗り残しがあります。 ここは修正

スプレー缶の蓋の中に塗料を吹き出し、綿棒で塗り残し部分を補修
ちょっと失敗。塗り過ぎて垂れてしまいました。
この程度はご愛嬌という事でOKとします。

エアバルブ部分 ちょっと失敗


この狭い部分には綿棒が届かないので、細い油性ペンで黒く塗ってごまかしておきました。
マスキング作業の説明部分で少し触れた話ですが、エアーバルブのマスキングをした時に付け根部分をつまようじなどの細い棒でテープを密着させておけば、このような失敗はしなかった可能性があります。
後は完全乾燥まで最低24時間、出来れば3日間以上乾燥させて、空気を入れれば今回のホイール塗装終了です。
乗用車の塗装の場合、この塗装の上にクリアーウレタン塗装をすれば完璧なのですが、今回はクリア塗装は行いません。
仕上げのクリア塗装をしない理由
この軽トラックは、遊び車ではなく、実用車(農作業車)です。
縁石にタイヤをぶつけるような失敗はしなくても、雑草の中を走ったり、浮き石のある砂利道を走ったりします。
当然、いつかは塗装が傷ついてくると思うのですが、今回予備を含めて2本のホイール専用塗料を購入し、使ったのは1本のみ。(しかもほんの少し残っている)
再塗装(傷直し)などの際にクリアー塗装がなければ周囲を含めて足付け後、その部分だけを塗装すれば、傷直し完了!という予定です。
(クリア塗装をした場合に比べて、補修が格段に楽になる予定)
今回のDIYホイール塗装にかかった費用一覧
「実際にどれくらい費用がかかるの?」と気になる方のために、今回紹介した道具をすべてAmazonで揃えた場合の金額をまとめました。
💡 試算の前提条件
2026年7月11日現在のAmazon価格です。
著者はプライム会員のため、送料無料として計算しています。
※価格は購入当時のAmazon価格(税込)です。時期により変動する可能性があります。
1. 道具をイチからすべて揃えた場合(基本セット)
必要な道具をすべて新しく購入する場合の総額です。近くのホームセンターではスプレー缶1本が約3,700円で販売されていたため、Amazonを活用するのが圧倒的にお得でした。
| 購入した商品 | 数量・詳細 | Amazon価格 |
| ホルツ ホイールペイント ブラック (320ml) | 2本(※ホムセンでは1本約3,700円) | ¥3,784 |
| ホルツ 脱脂剤 シリコーンリムーバー (300ml) | 1本 | ¥761 |
| ミガキクロス 不織布研磨パッド (#1200) | 1パック(1枚) | ¥980 |
| 3M 塗装用マスキングテープ (18mm×18m) | 1巻 | ¥320 |
| ハンディ・クラウン 布コロナマスカー | 1巻 | ¥438 |
| ニトリルグローブSP3 パウダーフリー | 1箱 | ¥1,499 |
| 合計 | ¥7,782 |
+α:さらに仕上がりを追求する場合のオプション
- プライマー(下塗り塗料)を追加する場合:
- ホルツ プライマー グレー(¥1,070)を追加 ➔ 総合計:¥8,854
- 耐久性を求めて2液性ウレタンクリア塗装を追加する場合:
- (※ウレタンクリアを重ねる場合は、さらにその分の塗料代がプラスになります)
2. 【体験談】おじさんが実際に新しく購入した金額
私の場合は、マスキングテープや養生シート、脱脂剤などをすでに持っていたため、今回新しく買い足したものは以下の2点だけでした。
- ホルツ ホイールペイント ブラック(2本):¥3,784
- ミガキクロス 不織布研磨パッド(#1200):¥980
- 実際の出費合計:¥4,764 (5,000円未満で塗装完了!)
💡 やってみて分かったワンポイント
実際に作業を終えてみると、スプレー塗料は1本(¥1,430)で十分に足りました。 そのため、もし手持ちの道具があり、かつ塗料を1本だけにしていれば、最安「¥2,410」で塗装が終了していた可能性が大です。
しかし、前述した通り「予期せぬ塗り残し」や「後日のちょっとした飛び石キズ」などのリペア(補修)のことを考えると、ホイール用塗料は最初から予備を含めて2本買っておいて大正解だったと感じています。
まとめ:下処理とマスキングを徹底すれば、1万円以下で足元が激変する!
今回はダイハツ・ハイゼットトラック(S510P)の純正鉄チンホイールを、総額1万円以下の費用で「つやありブラック」へDIY塗装する方法を解説しました。
一見難しそうに見えるホイール塗装ですが、成功の鍵は「塗装そのもの」よりも、その前段階にあります。
- 車から取り外して作業する: 安全性の確保と、ブレーキ周りへのミスト飛散を防ぐために必須です。
- 徹底的な足付けと洗浄: 研磨パッドを使い、表面が曇るまで丁寧に傷をつけることで塗料がガッチリ密着します。
- 空気抜き&トランプマスキング: タイヤの空気を抜き、ひげバリをニッパーで処理することで、トランプが際までしっかり密着して養生が劇的に楽になります。
- スプレー缶の湯煎(40℃前後): 霧が細かくなり、プロ並みのツヤを出すための必須テクニックです。
手間と時間はかかりますが、ホイール専用塗料(ホルツ)を使えば、飛び石やブレーキ熱にも強いタフで高級感のある足元に仕上げることができます。
「商用車っぽさを消したい」「愛車を安くカスタムしたい」という方は、ぜひ天気の良い週末にチャレンジしてみてください!
今回使用した塗料など
ホイール塗装に完ぺきを求める場合にあると良いもの
ハイゼットトラックの整備方法・カスタム・トラブル対策をまとめた記事一覧は、下記のカテゴリーページからご覧いただけます。


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