2年ほど前に分解・掃除・ボロン粉末(白い粉)を使用しての乾燥潤滑・組み立てで修理した扇風機ですが、最近急に調子が悪くなってきました。
再度分解修理、高級潤滑剤・スズキ機工株式会社のベルハンマーを始めて使ってみたら物凄く調子が良くなりました。
修理2か月後には、扇風機を風量・強で使うと風切り音がうるさく感じられます。
結論:スズキ機工株式会社のベルハンマーは、2度使いがおすすめです。
1回目・組み立て後滑り部分を作動させてコンタミネーションを出しつつ、金属表面の硬化。
2回目・1回目の作業で出たコンタミネーションをきれいに拭きとり、再度ベルハンマーを使用。
(2回目は、粘度の低い油であれば他の物でも良いのかもしれません・・・)
扇風機の調子が悪くなって来たので再度分解修理
前回修理からたったの2年で扇風機の調子が悪くなってしまいました。
この扇風機は冬の間も室内の空気循環用にサーキュレーター代わりに使っている物です。
以前分解したことが有るので分解も手慣れた感じでサクッと分解
前回 分解方法の詳細は こちら
分解してモーターの回転軸を観察して見ると・・・
ボロン粉末でのドライ潤滑にしたはずのモーター軸に油の様な物が付いています。
今回の不具合も油が原因の様です。
夏の暑い時期には油が柔らかくて問題を起こさなかったものが、冬季の室温の低下で油が固まりモーター軸の回転の抵抗になっていたのだと思います。
*なぜ注油していないのにモータ軸にあぶらがついていたのか?
原因は大体想像が出来ています。
我が家は部屋の作りがオープンキッチンなんです。
オープンキッチンの家は部屋が広く見えて視覚的には快適なのですが、料理をした時に出る油煙の中で
換気扇で吸いきれなかった目に見えない細かい油が空気中を漂って扇風機の軸に溜まったのだと考えられます。
潤滑油を使っても3~5年で油が乾燥してしまい不具合を起こし、
ドライ潤滑にしても室内の空気の中を漂っている油を吸い寄せて不具合を起こしてしまう。
どうせ、何年かで油を吸い込んでしまうのであれば、高性能な潤滑油を使ってみようか?と思い
何十年も前から知ってはいたけれども、お値段が問題で使った事が無かった高級潤滑油を思い切って購入、使用してみる事としました。
製品は スズキ機工株式会社のLSベルハンマーです。
ごく普通のスプレー式潤滑油であればホームセンター等で500円位からの値段で購入できるのですが、このLSベルハンマーのスプレー缶は内容量420㎖(原液170㎖+LPG〔高圧ガス〕)で、カタログ定価3,630円(税抜き)もします。
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金額を考えると、1本を色々なところで手軽に使える物では有りません。
しかし、この製品は 超極圧潤滑剤とうたっている通り、金属同士が強い力で擦り合っている場所の使用に特化した商品です。
スズキ機工株式会社さんのホームページで確認してみると、銅板腐食試験でLSベルハンマーを使い圧力をかけてすり合わせると、
悪く言えば腐食するのですが、
スズキ機工株式会社さんの説明によると初動摩擦を利用し金属表面に直接作用し摩擦の少ない状態に改質(表面硬度を上げる)します。 と、書いてあります。
しかも、雨風やその他要因で潤滑油が流れ落ちても改質された金属表面の状態は変わることなく維持され、油切れによる焼き付きをある程度レベルで防ぐ事が出来ます。 との事です。
という事は、扇風機の軸と軸受けにLSベルハンマーを使用して、ある程度の時間がたってから余った油をふき取ってしまっても長期間扇風機の性能が保たれるという事になります。
・余談ですが、スズキ機工株式会社さんのホームページに載っている
超極圧性能試験機での実演 は20年ほど前に 働いていた職場で見た事があります。当時も潤滑油の違いでこんなに摩耗の量が違うんだ!と、驚いた記憶があります。
(その時に見たメーカーさんがスズキ機工さんだったのかどうかは忘れてしまいました)
・もう一つ余談ですが、LSベルハンマーをバイクの保守用に使いたくて価格で躊躇して購入には至っていなかったのですが、今回は 扇風機の修理 という大義名分が立ちましたので思い切って購入しました。
大晦日の12月31日にポチリ、元旦1月1日の夕方我が家へ到着。Amazon様・ヤマト運輸様 お疲れ様です。
で、三が日も明けない1月2日の朝8時半ころ氷点下の下、屋外で作業開始するおじさんって・・・
LSベルハンマーの使用方法
扇風機の分解方法は前回の記事を見て頂くとして、
可動部の洗浄
軸受け部分をパーツクリーナーで洗浄。(汚れと油を洗い流します。)
パーツクリーナーはそれほど高価な物でなくて良いのでケチらずに使って、汚れと油をしっかりと洗い流します。
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パーツクリーナーを吹きかけた後、軸受け部分のゴミを取り除くために軸受け全体を動かし汚れと油を剥がすつもりでドライバーなどの軸代わりの棒を入れて、可動範囲いっぱいまでぐりぐりと回転させます。
その後再度パーツクリーナーを吹き付けて掃除は完了。
上の写真はモーター後部の写真ですが、モーター前部はモーター軸自体をぐりぐりと回転させて掃除します。
LSベルハンマーを吹き付けてなじませる作業
今まで使った事が無かったLSベルハンマーを使ってみます。
軸受け部の外側・内側両方にLSベルハンマーを吹き付け30分ほど暖かい室内に避難。LSベルハンマーが狭い隙間に浸透する時間を待ち。
先ほどと同じようにぐりぐり回します。
この時、モーター軸にもLSベルハンマーを吹き付けていきました。
この段階でぐりぐり回すのは、LSベルハンマーを軸受け全体になじませる事と、
・初動摩擦を利用し金属表面に直接作用し摩擦の少ない状態に改質(表面硬度を上げる)します。
というメーカーさんの説明を信じての作業です。
しばらく ぐりぐりしていると、
黒く汚れた油が出てきます。
これはコンタミネーションと呼ばれるもので、LSベルハンマーが金属を改質した時に発生する(改質金属粉作成中の工程の一部)のようです。
この汚れをふき取り、再度LSベルハンマーを吹き付け同じ作業を行います。
面倒くさくなるまで何回も同じ作業を繰り前した結果
前部軸受け部・後部軸受け部・モーターシャフト から出た汚れた油を拭きとった後です。
かなりの量の汚れ?コンタミネーション(金属の表面が化学変化を起こして硬化・低摩耗になった残りかす)が出ています。
後は元通り組付けて修理完了、扇風機作動中に軸と軸受け部も化学変化を起こすはずなので、ある程度作動させてからもう一度掃除も含めて点検してみたいと思っています。
掃除修理後の動作確認
前回と同じように、軸と軸受け部の芯出しの意味で、 回転・強 で、30分ほど屋外で慣らし運転後、家の中に持ち込んでファンヒーターの横でスイッチON!
おぉ~! 回転速度・弱でも何の異音も無く動いています。
修理前よりも回転速度・弱でのファンの回転速度が違う(速く回っている)気がします。
単なるフラシーボ効果かも知れませんが、「こいつ、やりおる」(なぜか上から目線)って感じです。(by.スガリさんの感想文はいつだって斜め上・著者 平田駒 さんのパクリ リスペクト/オマージュ です)
フラシーボ効果とは:
この薬はすごく効果がある薬だ!と言われて、他の粉(小麦粉等の人体に影響を与えない物)を飲んだ患者が症状が改善したという実験結果に基づいた言葉。
・思い込みで効果があると信じて、その通りの結果が得られる場合が有ります。
スガリさんの感想文はいつだって斜め上 本紹介
スガリさん(あだ名)の感想文を中心に書かれた作品です。
単なる読書感想文では無く物事を斜め方向から見た新しい視線での感想文がかかれています。
作中では夏目漱石『こゝろ』の感想文の中で ”この作者、やりおる” と、いった上から目線の感想もあり、物事をいろいろな方向から見る事が好きな人には面白い本です。
扇風機の起動時の反応の良さ・音の小ささは明らかに違うと実感できます。
後は、この効果がいつまで続くのか?
一旦余分な油(コンタミネーション)を取り除いた方が良いのか?
3日後、1月5日、扇風機の動きが悪くなってきました。失敗か? 再度掃除組立で絶好調になりました。
1月2日に分解掃除をして、3日後の1月5日
扇風機の動きが悪くなりました。羽の回転に抵抗があり羽の回転が遅くなってしまいました。
ここまで記事を書いたのに、この記事はボツかな?と思いつつ再度扇風機を分解してみると・・・
後ろ側のモーター軸受けの部分の軸にたくさんのコンタミネーションとみられるものが付いていました(軸に黒く汚れた油が付いていました)。
汚れた油を拭きとって再度LSベルハンマーを吹き付け再組立て。
後ろの軸受けに荷重がかかる様に、扇風機を倒して(扇風機の羽を空に向けて)風量・強で30分ほど慣らし運転。
一気に調子が良くなりました。
LSベルハンマーを吹き付けての初期摩耗でモーター軸と滑り軸受けの表面処理が出来て動きがさらに良くなったようです。
それから3週間後
1月25日現在。風量・弱で扇風機を始動させても絶好調で動いています。
以前よりも風量が上がったような気がします。
約2か月後
3月10日現在。風量・強で使っていると、風切り音がうるさく感じます。
テレビの近くに扇風機を置いているので、そのせいで余計にうるさく感じるのかもしれませんが、
「お前(扇風機)って、そんなに高い能力(風切り音がうるさく感じるほどモーターの回転が速い)持ってたんだね」っていう感じです。
LSベルハンマーの、個人的な評価(口コミ・レビュー)
LSベルハンマーの評価(口コミ・レビュー)を見てみると、
・絶賛している評価と
・値段が高い割にあまり効果が判じられない
というように評価がはっきりと分かれています。
LSベルハンマーは、今回の扇風機修理に関して言うと、とても良い。星五つ評価です。
但し、ベルハンマーは 二度使いを原則として考えた方が良さそうです。
①、一旦ベルハンマーを使い、金属表面の硬化処理を行う。
②、①の処理で出たコンタミ(金属が化学変化を起こして発生したゴミの様な汚れ)をふき取り、再度ベルハンマーを使う。
という使い方です。
ここからは推測(憶測?)で LSベルハンマーの使用用途と評価の関係を書いていきます。
・今回修理した扇風機の様な、金属同士が直接擦り合っている場所は、LSベルハンマーは物凄く滑りが良くなって、高評価を得られます。(但し、初期摩耗によるコンタミネーションの除去は必須です。)
・ちゃんとした?機械で ベアリングを使用している場所等では、ベアリングの中の鋼球(又は針状コロ)が転がっている為、LSベルハンマーの効果はあまり感じられないかもしれません。(滑り抵抗/摩擦抵抗では無く、転がり抵抗です)。
元々付いているベアリングの精度が高ければ高い程LSベルハンマーの効果は感じにくいと思われます。
・(P)5級くらいの精度があればLSベルハンマーの効果はあまり感じられないかもしれません。
2級などと言うとんでもなく精度の高いベアリングではLSベルハンマーの効果はほぼ感じられないと思います。
・10年以上前の知識を披露すると、4級・2級・などと言う精度の高いベアリングは作ろうと思って作れるものでは無く、メーカーさんで製造完成検査時のデータでたまたま上手に出来た物が市場に出回る。
という状態だったので、いつでも高精度のベアリングを入手できるわけでは無く、市場に出回っている時に購入出来ればラッキー(幸運)という状態でした。
・P4級のベアリングでも上記の通りで、価格は精度記入無しの物の10倍近くしていたと思います。
・P2級などと言う凄い精度のベアリングは、いったいどのくらいのお値段になってしまうのでしょうか?
(現在は製造技術が向上して 普段でも購入できる、又は価格が下がっているのでしょうか?)
但し、回転(ころがり)抵抗で効果が感じられなくてもベアリン寿命には大きな効果があると考えられます。
個人的な思い付きを書きますと、
グリース注入型のベアリングを開放型のベアリングに交換して、LSベルハンマーを使用してみれば(精密な測定器が無くても)実感できるほどの効果が得られそうな気がします。
→ 鋼球(又は針状コロ)がグリースで閉じ込められていた状態から、潤滑油付きの開放状態に変更
但し、シールド型のベアリングを開放型のベアリングに交換すると、周りのゴミなどを巻き込んでしまい、すぐにベアリングを痛めてしまう可能性が高いので、実際には効果は短期間しか得られなくなると思われます。
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追記、ルーペ(拡大鏡)のレンズの出し入れがきついのでLSベルハンマーで調整
金属同士が擦れ合って、動作がきつい場所 に効果が表れやすい。と思われるLSベルハンマーです。
何十年も前に購入して愛用しているルーペ(3x,4x,5x,)です。
しばらく使っていなかった物を使おうとしたところ、レンズの出し入れがきつくてだいぶ力を入れなければレンズを出して使用出来ない状態になっていました。
このルーペの回転軸部にLSベルハンマーを吹き付けて、動作させてみました。
回転軸部だけでなく、レンズの取り付け部どうしも擦れ合っている様です。
LSベルハンマーを吹き付けた後、何十回もレンズを出し仕入れした結果、写真のようなコンタミネーション(黒い油汚れの様な物)が出てきました。
レンズの出し入れ状態は?
スルッと と言えるほどではありませんが、軽い力でレンズの出し入れが出来る様になりました。
レンズ=光学測定機器 に油汚れは厳禁です。
メーカーさんの言う 潤滑油が流れ落ちても改質された金属表面の状態は変わることなく維持され という言葉を信じて、台所用中性洗剤で油を洗い落とししっかりと乾燥させました。
結果:上記と同じ、スルッと と言えるほどではありませんが、軽い力でレンズの出し入れが出来る状態です。(だいぶ作業が楽になりました)
LSベルハンマーは使いどころを選べば、しっかりと機能を果たしてくれる高級潤滑油だと思います。
以上、
コメント
なによりで御座います。
私の場合は原液タイプとグリースタイプを持っているのでバイクのメンテナンスに使用してみましたが、体感できる何らかは無かったです。
扇風機くらい単純なtheモーター!みたいなもののけ方が違いが顕著に現れるのかも知れませんね。
もののけ→ものの
ささき様 いつもコメントありがとうございます。
コメントを頂けると記事を書く励みになりうれしいです。
この扇風機の軸受けはベアリング等は無く穴が開いているだけです、含油軸受けだったのかもしれません。
今では油がすっかり抜けきった状態で金属同士が擦れ合っている状態です。