チェーンソーのキャブレター調整方法
今までの工程でチェーンソーの調子が良くなっている筈ですが、キャブレターの調整方法を説明します。
前置き(前提)
キャブレターの調整の前提として、チェーンソーの他の部分に問題が無いという事があります。
- 新しい混合ガソリンが正確な比率で混合されてはいっている事
- 燃料フィルターが詰まっていない事
- 燃料パイプに亀裂等が無く正しく接続されている事
- プライマリーポンプに亀裂等が無く正しく混合ガソリンを送り込むことが出来る事
- エアークリーナーが清潔で正しく取り付けられている事
- フロントガードのブレーキが解除されている事
- スパークプラグの汚れや隙間を確認し、正しく取り付けられている事
- マフラーが詰まっていない事(排気経路の掃除)
- ソーチェーンの張りが正しく調整されている事
- 他・・・・キャブレター以外の部分が綺麗に正しく設定されていないとキャブレターの調整は出来ません。
エンジンが回る事に対する負荷になる要素を取り除きます。
失敗例・私が実際やってしまった初歩的な失敗
梅の木の切り株処理の為に、周りの土を掘り起こし、太い根をチェーンソーで切断作業を行った時の話です。
周りの土はしっかりと取り除いてからチェーンソーを使うべき場面ですが、適当なおじさんは後で目立てをやり直せばよいからと土が付いた状態の根を切断しました。
作業中突然エンジン停止、燃料切れかな?と気楽に考えて確認しましたが燃料はまだ残っています。メインスイッチのON/OFFを切り替えて見たり、フロントガードのブレーキを掛けたり解除したりして見ましたが、エンジンがかからない状態になってしまいました。
一旦作業を諦め
- キャブレター周りの確認もしましたが問題は無さそう
- スパークプラグから火花は飛んでいる
エンジンがかからない理由をいろいろ考えたのですが、答えが出ません。・・・・
ソーチェーンのたるみが気になり調整をしようとして、ついでにチェンカバーを外してみると、チェーンの根元部(エンジンの出力部)周辺に、湿った木屑と土がびっしりと入り込んでいました。
この汚れを落としてソーチェーンの張りを調整し直した後、エンジンを掛けてみると何事も無かったように絶好調で動く様になりました。
何の事はない、ごみ詰まりで負荷が掛かりエンジンがかからなくなっただけの事でした。
エンジンを掛けて暖機運転
混合ガソリンの確認と、
キャブレターの調整とは直接関係はありませんが、チェンオイルも確認しておきます。
混合ガソリンを入れる時には毎回チェンオイルも入れる癖を付けておきましょう。
- プロテクター(ソーチェンのカバー)を外し
- フロントガードのブレーキ解除確認
- エンジンのメインスイッチON
- プライマリーポンプを数回押してキャブレター内に燃料を送り込む
(プライマリーポンプを押す回数はしつこいくらい何回も行うと、キャブレターの軽いつまりが解消される場合が有ります) - チョークを2段目まで引く
チェーンソーを安定した地面に置き、周囲に障害物のないことを確認してから機体をしっかり押さえて右手でスターターロープを素早く引いてください。
(機体を押さえる時は前ハンドルを左手で押さえ、足で後部ハンドル下部を踏みつけて固定します。)
初爆が確認出来たらスロットルレバーを軽く引き、チョークノブを1段目の位置に戻してから、再度ロープを引きエンジンを掛けます。
エンジン始動後チョークレバーを引きチョークノブを完全に戻します。
エンジンが掛かったらそのまま数分(2~3分以上・自分が思う以上の時間しっかりと暖機運転を行いましょう)低速で暖機運転を行います。
キャブレター調整ネジの位置
キャブレターの調整ネジ部は外側から直接調整出来る様に穴が開いています。
アイドリング調整
キャブレターの調整は実際に作業する状態 → エアークリーナー・エアークリーナーカバーを取り付けた状態で行います。
アイドリング調整は素人でも手を出しやすい部分です。
アイドリング調整は自分で行えるように挑戦してみましょう。
ここは一般的なプラスドライバーの#2を使って調整できます。
実際はカバーを着けた状態で調整を行うのですが、カバーを外した状態の写真で解説します。
アイドリング調整ネジの先端はテーパー形状になっていて、アイドリング時はアクセルプレートと接触しています。
アイドリング調整ネジの位置によってアクセルプレートを直接動かし調整します。
アイドリング調整ネジをねじ込むとアイドリングの回転数が上がり、緩めると下がります。
アイドリング時のエンジン回転数は下げすぎるとエンジンが止まってしまい、上げすぎるとソーチェーンが動きだし危険です。
*アイドリング調整ネジを閉めたり緩めたりしてソーチェーンが動かず、且つ エンジンが止まらない位置に調整します。
この後の燃調ネジの調整によって、再度アイドリング調整が必要になる可能性があります。
燃調ニードル(燃調ネジ)の調整
燃調ニードルは基本的には素人が迂闊に弄ると余計調子が悪くなります。
(私も以前 弄りすぎて訳が分からなくなった経験があります。)
現状で明らかに調子が悪い状態でなければ下手に弄らずにそのまま使用した方が良いかもしれません。
取扱説明書が手元にある方は、先ずは取扱説明書通りの位置に調節してアクセルの開閉を行い、必要に応じて燃調ニードルを調整する等にしましょう。
この機種の場合の燃調ニードルの基準開度と許容範囲はネジを右に回して、止まった位置から左へ
・高速ニードル(H) 1回と3/8±1/4
・低速ニードル(L) 1回と1/4±1/4 戻した範囲です。
ここから先は私は、説明を書きますが責任は取れません。あくまでも自己責任で調整を行ってください。
取扱説明書等の資料が無い場合の調整方法
燃調ニードルは右に回すと混合気が薄く(燃料の供給が少なく)なり、左に回すと混合気が濃く(燃料の供給が多く)なります。
チェーンソーは非常に高回転で回ります。フルスロットル状態ではどのメーカーのチェーンソーでも軽く1万回転以上(10,000rpm~)の回転数になります。高回転で動かし続けるとエンジンが高熱になります。
極端に高回転で回るという事は、潤滑油切れを起こすと簡単にエンジンが焼き付いて壊れてしまうという事に繋がります。
エンジンの回転数が10,000rpm以上という回転数は、
例えがおかしいかもしれませんが、自動車で言えば、耐久性を多少犠牲にしてでも回転数を上げたいレーシングカータイプ並みの回転数です。(ポルシェ911カレラSでも最高出力の出る回転数は毎分6500回転だそうです。)
何が言いたいかというと、
一番高回転で回る位置に調整しておくとエンジン焼き付いて壊れてしまう可能性が非常に高くなるという事です。
上記理由により、キャブレターの燃調調節は最高に動く位置よりも少し燃料供給を多めの位置に調節して、エンジンの焼き付きによる故障を予防する位置に調節するようにします。
燃調ニードルの調整は細い軸のマイナスドライバーが必要です。
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ちなみに私は100均ショップのドライバーを追加工して使っています。
低速ニードルの調整方法
アイドリング調整が出来た状態のエンジンを十分暖機運転をしてから、低速ニードルの調整を行います。
低速ニードルの調整用の穴に細いマイナスドライバーを差し込んで調整します。
低速ニードルの調整穴の近くに L の表示がある筈です。
低速ニードルを閉めたり緩めたりして一番回転数が上がる位置を探し出し、その位置から少し左へ回します。(焼き付き防止の為、燃料供給を少し多めに設定します。)
どのくらい緩めればよいのか正確なことは私にもわかりませんが、1/8~1/4回転の間位で良いと思います。
この調整で、アイドリング状態でもソーチェーンが動き出してしまうようになった場合は、先ほどのアイドリング調整をやり直します。
ちなみに専門店では回転計(タコメーター)を使って正確に調整するそうです。
高速ニードルの調整方法
アイドリング調整が出来た状態のエンジンを十分暖機運転をしてから、高速ニードルの調整を行います。
高速ニードルの調整用の穴に細いマイナスドライバーを差し込んで調整します。
高速ニードルの調整穴の近くに H の表示がある筈です。
充分暖機運転が出来てからスロットル全開で様子を見ます。
こちらも低速ニードルの調整と同じで燃調ニードルを少しずつ回して一番回転数が上がる位置を見つけて、その位置から少しネジを緩めた位置にします。
*注意
スロットル全開で一番回転数が上がる位置や、それ以上ねじを締め込んだ状態で長時間エンジンを回し続けるとエンジンが焼き付きます。潤滑油(混合油)不足での高回転運転は厳禁です。
余談ですが、車やバイクのカタログを見ると最大出力や最大トルクと回転数はピークの値が違います。
昔の車やバイクのカタログにはエンジン特性のグラフが書き込まれている物が多数在りましたが、今はどうなのでしょう?
いずれにしても一番早くエンジンが回る位置が、一番力が出る とは限らないです。
まとめ
キャブレターの分解から調整方法まで写真入りで説明してきました。非常に長い記事になってしまいました。ここまで読んでくださった方 ありがとうございます。
燃調ニードルの調整は正直言って、私もまだ自信をもって行う事が出来ません。
(取扱説明書通りの位置で使っています)
但し、燃調ニードルの調整以外の部分はこの記事通りに行えば、初めての方でもキャブレターの分解・掃除・組立・アイドリング調整までは出来るはずです。
チェーンソーの調子が悪くなって業者に修理に出そうと思っている方は、ご自分で出来るところまでやってみてそれでもだめだったら修理に出す という手もありだと思います。
ご健闘をお祈りします。
追記 真冬の使用時には燃調ニードルの再調整が必要でした
2月中旬、外気温+2℃ 風も無く穏やかな陽気だった為、木の剪定を行いました。
久しぶりにチェーンソーを取り出してエンジンを掛け、暖機運転に充分な時間をかけてから、木を切ろうとすると・・・
チェーンソーの回転がスロットルの動きと連動しません。
高回転まで回転が上がってくれない状態です。
前回調整時と外気温が違いすぎる為、再調整が必要となりました。
(一説によると、温度によって空気の密度が変わると言う事があるようです)
再調整はニードルの回転を元の位置から1/4回転以内を目安に緩めたり閉めたりして調節します。
前回使用後、掃除と調節をしっかり行っておいたので 割と簡単に調整が出来ました。
以上、
コメント
CSE-140Eエンジンチェンソーのキャブレターからプライマーポンプまでの配管パイプがふるくなったので交換するのに配管状況が分かりません、出来れば図解で教示してください。
ナカタニヨシノブ様 コメントありがとうございます。
CSE-140Eエンジンチェンソー? ちょっと調べてみました。
株式会社 髙儀 メーカーさんのサイトから取扱説明書をダウンロードして、形を確認しました。
https://www.takagi-plc.co.jp/products-handled/electric/product-detail?id=1401961&genre=3&category=624
プライマリポンプが本体左側の燃料タンクキャップ近くに付いているんですね。
これは少し面倒な作業になりそうです。
フロントグリップを外し、本体の左側カバー全体を外さないと交換できない気がします。
的確な回答が出来なくて残念です。
現物が手元にあれば自分でバラしてみたい気はしています。
左側カバーさえ外せれば、後は見た目で判断できると思います。
ちなみに、燃料ホースは黒い耐油ホースでは無くても、ピンク色のホームセンターで売っている耐油ホースを使えば良いと思います。
➡日光にあたらない部分なので黒いホースにこだわる必要がありません。
蛇足ですが、
株式会社 髙儀 取扱説明書の冒頭で
警告 人が死亡又は重傷を負う可能性が想定される内容
22.ご自分で修理しないでください。
●故障・異常時は直ちにエンジンを停止させて本製品の使用を中止し、お買上げの販売店にお申しつけく
ださい。又は(株)髙儀「お客様相談窓口」(ホームページ含む)に相談してください。
●修理の知識や技術のない方が修理すると事故やけがの原因となります。
という、お決まりの文句が書かれています。